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新刊紹介 (197集掲載分)

「新刊書目」の一部について、簡単な紹介をしています。(価格は本体価格)

井手至著『遊文録 国語史篇二』

 著者の上代語を中心とする論考のうち、漢字・仮名の表記法、用字法、換え字、誤写の問題を扱ったものを収録した書。資料のほとんどは『万葉集』からとられている。構成は以下のとおり。「第一篇 上代の用字と表記法」(「上代人の文字意識」「上代の漢字、仮名の用法」)。「第二篇 萬葉集の表記法」(「仮名表記される語彙」「正訓漢字表記される語彙」)。「第三篇 萬葉集に見える用字」(「掛け詞の源流 ―縁字の使用―」「飛鳥」「戯奴」「宿木」「開木代」「諸伏」「潤湿」。)「第四篇 萬葉集古写本の換え字」(「古写本の換え字 ―表意漢字の場合」「類聚古集の換え字 ―表音仮名の場合」)。「第五篇 萬葉集古写本の誤字」(「誤字説の限界性」「紀之許能暮之」「和々良葉」「并人 水飯合」)。「付篇 黎明期の漢字使用」。『遊文録』は全六巻からなるが、既刊の『国語学篇』、『国語史篇一』とあわせて、国語学関係の巻はすべて刊行されたことになる。

(1999年1月10日発行 和泉書院刊 A5判縦組み p377 11500円)

 ◆52巻3号(206号)に書評を掲載

橘誠著『源氏物語の包含する語法・用語例の研究』

 故橘誠氏が昭和37年に國學院大学に提出した学位論文「源氏物語の包含する語法・用語例の研究」を主内容とし、それに「橘誠「学位論文」審査要旨」(今泉忠義・金田一京介)、「教育者、そして研究者としての橘誠先生 ―解題に代えて―」(久保田淳)をあわせて刊行したもの。全体は「語法編 主語特示の「が」」と「用語例編 「わかわかし」と「わかやかなり」」の二部から構成されている。語法編は、「主語特示の「が」に関する諸説」、「主語特示の「が」の全般的考察」、「河内本における主語特示の「が」」、「むすび」の計四章、また用語例編は、「源氏物語に現はれる形容詞・形容動詞の概観」、「「わかし」の語義」、「「わかわかし」の語義」、「「わかやかなり」の語義」、「「わかし」「わかわかし」「わかやかなり」の語義の関係」の計五章からなる。「年譜」と「業績一覧」を付す。

(1999年1月14日発行 おうふう刊 A5判縦組み p242 8000円)

小谷博泰著『上代文学と木簡の研究』

 前著『木簡と宣命の国語学的研究』(昭和61年、和泉書院)に続くもので、著者の既発表論文十四編と口頭発表をもとに新たに執筆された二編を含む。「第一部 文章史から見た古事記の成立」(古事記の表記と表現、文の接続にかかわる語をめぐって、記紀の神名と寿詞の表記、ほか計六節)、「第二部 万葉集の表記と用字」(万葉集と文字、巻一・巻二の用字と表記、ほか計四節)、「第三部 木簡・文書の表記と語彙」(上代の金石文・木簡・文書、宣命・祝詞の表記と語彙、古事記と木簡ほか計六節)からなる。

(1999年1月19日発行 和泉書院刊 A5判縦組み(索引のみ横組み) p320 10000円)

小松英雄著『日本語はなぜ変化するか 母語としての日本語の歴史』

 「日本語史研究とは、過去の日本語に生じた個々の言語変化を、体系に生じた変化として捉え、継起的に生じた諸変化に因果律で一貫した説明を与えることである」、「日本語は日本社会の反映であり、日本語史は日本社会の変容の反映である」という立場から、日本語を母語とする人間にとって日本語の歴史がどういう意味を持ちうるかを明らかにしようとした書。「第1部 母語についての認識 日本人と日本語」、「第2部 日本語はどのように変化してきたか 変化の動因/変化のパターン」の二部からなる。第1部は「日本語の〈ゆれ〉と〈乱れ〉」、「原日本語の形成」、「社会の変化と日本語の進化」の三章から、また第2部は「ユの時代I・II」、「ルの時代」、「ルルの時代」、「レルの時代」、「尊敬用法の変転」、「可能動詞の形成I・II」の八章からなる。補説(国文法とは?、活用表の枠組み、ほか)を付す。

(1999年1月20日発行 笠間書院刊 四六判横組み p284 2400円)

星野五彦著『万葉の諸相と国語学』

 著者の既発表論文十七編に新たに書き下ろした一編を加えてなった書。「第一部 万葉歌の諸問題」は「万葉歌の諸問題について」、「万葉調とは何か」、「万葉集と郷歌 ―その二、三の問題―」など計十一章から、また、「第二部 万葉集の国語学的考察」は「初期万葉の数字用法小考」、「柿本人麻呂の数字用法小考」、「万葉に見る戯書」、「接辞語「い」小考」、「斎(イワイ)の文学 ―防人歌を中心にして―」、「防人歌の接辞語」、「万葉訓点小考」の七章からなる。

(1999年1月20日発行 おうふう刊 A5判縦組み p255 3800円)

安田敏朗著『「言語」の構築 小倉進平と植民地朝鮮』

 『帝国日本の言語編制』(平成9年、世織書房)、『植民地のなかの「国語学」 ―時枝誠記と京城帝国大学をめぐって―』(平成9年、三元社)に続くもの。植民地朝鮮の言語を宗主国の一役人として研究した言語学者小倉進平の全体像を描くことを通じて、国家統治体制のありようと言語あるいは言語研究をめぐる様々な関係を描き出そうとする。「第一章 小倉進平略歴」、「第二章 朝鮮語研究の動機」、「第三章 初期の研究論文について」、「第四章 系統論の語り方」、「第五章 「国語」普及の論理と「国語問題」」、「第六章 方言研究の持つ意味」、「第七章 小倉進平と京城帝国大学」、「第八章 朝鮮語整備事業」、「第九章 地名の改称をめぐる議論 ―「大東亜戦争」期の異言語認識」からなる。なお、本書に続き、五月に『〈国語〉と〈方言〉のあいだ ―言語構築の政治学』(人文書院)が刊行された。

(1999年1月25日発行 三元社刊 B6判縦組み(索引のみ横組み) p333 3000円)