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新刊紹介 (198集掲載分)

「新刊書目」の一部について、簡単な紹介をしています。(価格は本体価格)

坂詰力治著『国語史の中世論攷』

 中世前期(院政・鎌倉時代)及び中世後期(室町時代)の日本語の語彙・語法に関する著者の既発表論文(前著『論語抄の国語学的研究 研究・索引編』に収録された論文を除く)を整理して一書にまとめたもの。序文(小林芳規)、「第一篇 中世前期の語彙・語法」(『保元物語』『平治物語』の語彙論的考察、法華百座聞書書抄における助動詞、ほか計六章)、「第二篇 中世後期の語彙・語法」(室町時代における「こそ」の係り結び、室町時代における助詞「バシ」、ほか計十章)、「第三篇論語抄の国語学的考察」(『論語抄』の動詞の語法(一)(二)、『論語抄』の形容詞、ほか計八章)、「第四篇 鶏肋」(「とばかり(暫時)考」、語誌類聚、ほか計五章)からなる。

(1999年1月30日発行 笠間書院刊 A5判縦組み p748 19000円)

 ◆52巻3号(206号)に書評を掲載

馬渕和夫著『古代日本語の姿』

 上代語・古代語に関する著者の既発表論文二十八編(コラム三編を含む)に新たに書き下ろされた五編を加えてなった書。全体は「資料篇」「音韻篇」「文法篇」「古代日本語と朝鮮語に関する諸問題」「索引篇」の五つの部分からなる。各篇の構成は以下のとおり。資料編:「隅田八幡宮蔵古鏡の銘文について」「『日本霊異記』とその訓釈のかな」ほか計四章。音韻篇:「古代日本語成立の素描」「万葉集の音韻」「上代語の清濁に関するひとつの見解」「Oの問題」ほか計七章。文法篇:「動詞活用の起源」「古代日本語の子音終止語幹」「動詞の自他」「助動詞の起源」ほか計六章。古代日本語と朝鮮語に関する諸問題:「「くに」の語源」『三国史記』『三国遺事』の地名について」ほか計六章。索引篇は「全巻事項索引」と「『古事記』『日本書紀』『万葉集』用例索引」の二部に分かれる。

(1999年1月30日発行 武蔵野書院刊 A5判縦組み(一部横組み) p808 22000円)

 ◆52巻4号(207号)に書評を掲載

早田輝洋著『音調のタイポロジー』

 人間言語の音調の本質、ならびに東アジアにおける音調の地理的分布と歴史的発展に関する、著者の1969年から1994年までの既発表論文(単行本に収録されているものは除く)から十八編を選び、「第1章 音調とは何か」を加えて編まれた書。英文論文を日本語に訳したものも四編含まれている。第2章以下の構成は以下のとおり。「第2章 音調の類型と比較」(日本語と日本語周辺諸言語の音調システム、語声調方言、朝鮮語晋州方言のアクセント体系、朝鮮語慶尚道方言の長母音について、ほか計七節)、「第3章 アクセントの基底表示と担い手」(アクセントの解釈をめぐって、アクセント分布に見る日本語の古層、東京方言におけるアクセントの担い手と複合の熟合度、ほか計六節)、「第4章 アクセントとイントネーション」(東京アクセントのピッチ曲線、文における声の高さの型について、ほか計五節)。

(1999年2月1日発行 大修館書店刊 A5判横組み p344 4800円)

 ◆51巻2号(202号)に書評を掲載

酒井憲二編著『実語教童子教 ―研究と影印―』

 実語教(平安時代成立)と童子教(鎌倉時代成立)は、中世近世を通じて初等教科書として広く使われたもので、本書は、その写本・版本を収集し、書誌学・国語学の観点から研究したものである。本文(「実語教 童子教」)、研究(「わが国における実語教の盛行と終焉」「実語教童子教の古本について」「実語教童子教の語彙」)、影印(「永和三年写 童子教」「明応六年写 実語教童子教」「慶長頃写 童子教注」「寛永初年刊 実語教童子教」「寛永八年刊 実語教童子教」「明治六年刊 英語傍訓 実語教」)、索引(「実語教童子教語彙索引」「研究の部索引」)からなる。

(1999年2月1日発行 三省堂刊 A5判縦組み p424 19000円)

田島毓堂著『法華経為字和訓の研究』

 漢訳法華経が訓読される時に為字がどのように訓読されるかを追求した著者の既発表論文・資料の集成。「第一部 法華経為字和訓考」は、「法華経為字和訓考序説」、「法華経為字和訓考(一)〜(八)」、ならびに「資料編」として「法華経為字和訓考資料編(一)〜(八)」を収める。「資料編」には、「妙一記念館本仮名書き法華経」、「日光山輪王寺蔵伝光明皇后筆法華経」、「日光山輪王寺天海蔵高麗版法華経」が加えられている。また、為字訓・為字和訓に関する個々の問題、個々の伝本を扱った「第二部 法華経為字和訓考各論」には、「第一章 法華経為為章考」、「第二章 為字の読み ―法華経訓読における為字和訓から―」、「第三章 漢字訓 ―和訓発生の契機としての―」、「第四章 常用漢字常用和訓 ―仮名資料としての源氏物語絵巻詞書における―」、「第五章 法華経為字ベシ訓源流考」など計十二編の論文が収録されている。付録として「法華経訓読史資料略年表」を付す。

(1999年2月1日発行 風間書房刊 A5判縦組み(索引のみ横組み) p1313 37500円)

丸山和雄・岩崎攝子訳『チャンブレン著「日本口語文典」全訳』

 B. H. Chamberlain の A Handbook of Colloquial Japanese 第三版(1898年)の本邦初全訳。「理論編すなわち文法」は、「第1章 諸注意」、「第2章 発音と文字変化」、「第3章 名詞」、「第4章 代名詞」、「第5章 後置詞」、「第6章 数詞」、「第7章 形容詞」、「第8章 動詞」、「第9章 動詞(完結)」、「第10章 副詞 感嘆詞 接続詞 特別な語法」、「第11章 敬語」、「第12章 統語法」からなる。また、「実践編すなわち読本」は、「不変に使用されている短い句」「特別な役に立つ句」「簡単な質問と答え」などからなる。

(1999年2月15日発行 おうふう刊 A5判横組み p576 20000円)

石綿敏雄著『現代言語理論と格』

 「現代文法理論の概観」「日本語用言の格構造の解析」という二つの内容を盛り込んでまとめられた書。第1章「現代の文法理論の展望」では、様々に分化した文法研究の流れの全体像を見通すという趣旨のもとで、現代の各種文法理論の基本的な考え方が平易に説明されている。また、第2章「ディクトゥム(命題)の構造」では、主に結合価文法の考え方にもとづき、表層言語形式としての名詞・助詞・動詞(用言など)の結合と、深層における名詞と動詞の意味的な結びつきの対応関係を分析・記述している。第3章「付編 モダリティーそのほか」は、文法のうち第2章で扱われていない部分に関する見取り図である。

(1999年2月18日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み、p326 4600円)

 ◆52巻2号(205号)に書評を掲載

森岡健二著『欧文訓読の研究 ―欧文脈の形成―』

 欧文を訓読することによってもたらされた蘭語・英語その他の外国語学習のための訓読の語法・措辞を「欧文の直訳語脈(欧文脈)」と呼び、その発生・成立・特徴と現代日本語への影響について考察した書。序説に続く第一部「蘭学時代の訓読」は、「オランダ語学の展開」、「草創時代 ―旧法における翻訳―」、「普及時代 ―藤林普山『和蘭語法解』―」、「発達時代 ―蘭語文法の訓読」、「欧文脈の萌芽 ―大庭雪斎『訳和蘭文語』後編の訓読―」の五章からなる。また、第二部「英学時代の訓読」は、「英文訓読資料」、「欧文脈 ―名詞」、「欧文脈 ―代名詞」、「欧文脈 ―形容詞」、「欧文脈 ―動詞 附・助動詞」、「欧文脈 ―接続関係 接続詞、前置詞、熟語」の六章からなる。

(1999年2月20日発行 明治書院刊 A5判横組み p282 10000円)

姫野昌子著『複合動詞の構造と意味用法』

 日本語の複合動詞に関する著者の既発表論文七編(加筆・修正が施されている)に、新規執筆の五章を加えて編まれた書。全体は次の十二章からなる。「複合動詞とは」、「複合動詞の結合パターン」、「「〜あがる」、「〜あげる」および下降を表す複合動詞類」、「「〜こむ」および内部移動を表す複合動詞類」、「「〜でる」と「〜だす」」、「「〜つく」と「〜つける」」、「「〜かかる」と「〜かける」」、「「〜あう」と「〜あわせる」」、「「〜きる」、「〜ぬく」、「〜とおす」」、「「〜なおる」と「〜なおす」」、「「〜たつ」、「〜たてる」と「〜まくる」」、「複合動詞の結合性から見た動詞の意味分類と分析の可能性」。「付、複合動詞リスト」を付す。

(1999年2月25日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み、p278 6000円)

 ◆51巻1号(201号)に書評を掲載

大久保恵子編・訳『チェンバレン『日本語口語入門』第2版翻訳付索引』

 B. H. Chamberlain の A Handbook of Colloquial Japanese 第二版(一八八八年)「理論編(文法)」の日本語訳及び原本全体の影印。巻頭の Preface, Table of Contents、 及び Theoretical Part、巻末の Additions and Corrections の日本語訳と原本全体の影印、ならびに理論編日本語語句索引からなる。「理論篇(文法)」日本語訳は、「第1章 序言」、「第2章 発音と文字の変化」、「第3章 名詞」、「第4章 代名詞」、「第5章 後置詞」、「第6章 数詞」、「第7章 形容詞」、「第8章 動詞」、「第9章 動詞(結び)」、「第10章 副詞 間投詞 接続詞 特殊語法」、「第11章 敬語」、「第12章 構文法」からなる。

(1999年2月25日発行 笠間書院刊 A5判横組み p851 19000円)

大塚光信・来田隆編『エソポのハブラス 本文と総索引』

 大英図書館所蔵本を底本とする、Esopono Fabulas の翻刻・翻字ならびに総索引。索引篇は「自立語索引」と「付属語索引」からなり、『エソポのハブラス』翻字本文を底本として、そこに用いられているすべての単語を対象としている。

(1999年2月25日発行 清文堂出版刊 A5判横組み 本文篇p203、索引篇p547 18000円)

犬飼守薫著『近代国語辞書編纂史の基礎的研究 ―『大言海』への道―』

 近代国語辞書形成史に関する著者の既発表論文に新規執筆の論考を加えた書。新たに書き下ろされた論考も含まれている。『言海』『大言海』の形成過程を追いながら、近代国語辞書の誕生と発展の様相を示している。「序章 近代国語辞書の創制に至るまで」、「第一章 近代国語辞書の誕生 ―『日本辞書 言海』の出現―」、「第二章 近代国語辞書の成長 ―『日本辞書 言海』から『大言海』へ―」、「第三章 近代国語辞書の発展 ―大型国語辞書『大言海』の出現―」、「終章 『大言海』への道」からなる。

(1999年3月15日発行 風間書房刊 A5判縦組み p778 18000円)

秋永一枝著『東京弁アクセントの変容』

 東京弁アクセントに関する、著者の1957年から1996年までの論文を一冊にまとめた書。以下の十章からなる(IV、Vは既発表論文からの抜粋・再構成)。「I アクセント推移の要因について」、「II アクセントから文法へ ―品詞の弁別について―」、「III 江戸アクセントから東京アクセントへ」、「IV アクセントのゆれと今後の動向」、「V 言葉の馴染み度と発音・アクセント」、「VI 東京弁アクセントから首都圏アクセントへ」、「VII 東京・芦安両アクセントにみる接合型の衰退」、「VIII 字音一音語のアクセント」、「IX アクセント核の移りと聞こえの方言差 ―母音の無声化を中心に―」、「X 東京弁音声の衰退」。付録として、「東京アクセント第一次調査報告」、「東京都区内生育者における調査報告 昭和28〜30年」を付す。

(1999年3月20日発行 笠間書院刊 A5判横組み p299 7800円)

 ◆52巻3号(206号)に書評を掲載

室山敏昭・藤原与一編『瀬戸内海圏 環境言語学』

 環境(自然環境・社会環境)と言語との相関関係について考察するという趣旨のもとで編まれた論文集。「瀬戸内海域沿岸第二周辺〈少し奥まった地帯〉調査の意義」(井上博文)、「瀬戸内海の一島嶼における生活語彙と環境 ―環境言語学の一つの試み―」(室山敏昭)、「中国山地域方言の動態 ―『瀬戸内海言語図鑑』との比較から」(町博光)、「社会学的に見た瀬戸内海域 ―社会的性格を中心に―」(八木佐市)、「瀬戸内海地方の気候地名と風位名に関する環境地理学的考察」(福岡義隆)、「瀬戸内海圏 環境言語学志向」(藤原与一)ほか計十編の論文からなる。

(1999年3月20日発行 武蔵野書院刊 A5判横組み p255 6000円)

国語語彙史研究会編『国語語彙史の研究18 山内洋一郎教授退官記念』

 国語語彙史研究会発足当初からの幹事である山内洋一郎氏の退官を記念して編まれた号。「「おほ」(大・多)の変遷 ―「大きなり」「多し」「多かり」「大きい」をつないで―」(山内洋一郎)、「沖縄方言における「木」を表す「コ〜」」(柳田征司)、「古事記における補助動詞「タマフ」の用法 ―敬語補助動詞としての文法化の一過程―(下)」(森山由紀子)、「連体ナリの已然形」(高山善行)、「現代に生きる枕詞 ―“ぬばたまの”をめぐって―」(前田富祺)、「叙実動詞と引用」(藤田保幸)、「日中両国語における「−的」について」(陳誼)など、計二十四編の論文を収録する。山内氏による「山内洋一郎著書論文目録」を付す。

(1999年3月25日発行 和泉書院刊 A5判縦組み p424 11000円)

神谷かをる著『古今和歌集用語の語彙的研究』

 著者の既発表論文九編(修正・改変が施されている)に新たに執筆された二編を加えてなった書。和歌に好まれるか否かに観点を置きつつ、古今和歌集の用語について語彙論的・語構成論的に考察が加えられている。序章、第一章「古今集にみられる言語観」、第二章「語彙的考察」(身体語彙、恋歌の歌語「恋ひ死ぬ」、訓読の語と非歌語、孤例の語など)、第三章「語構成的考察」(万葉語彙的造語、形容動詞・程度副詞、複合動詞、辞の形態)、第四章「詩語と歌語」(「白−・初−・四季−」の語彙、「山−・川−・草−・木−」の語彙)からなる。

(1999年3月31日発行 和泉書院刊 A5判縦組み p227 7000円)

馬場良二著『ジョアン・ロドリゲスの「エレガント」 ―イエズス会士の日本語教育における日本語観―』

 著者の既発表論文に改訂を加えてまとめられた書。ポルトガル語を母語とする日本語教師ロドリゲスがどのようなフィルターを通して日本語を見たか、また日本語教師としてどのような教育的配慮のもとで日本語を記述したかを明らかにし、ロドリゲスの文典を読む際に知っておくべきロドリゲスの日本語観、言語観の対照言語学的、日本語教育的枠組みを示そうとしている。「第1章 elegancia,elegante,elegantemente」、「第2章 ラテン語学の与えた影響」、「第3章 文典成立の歴史的および言語的背景」、「第4章 ADUERBIO(副詞)について」、「第5章 sonsonete」、「第6章 lingua,linguagem,palavra」、「第7章 影印本と訳本のローマ字つづりの異同」からなる。

(1999年3月31日発行 風間書房刊 A5判横組み p212 8000円)

橋内武著『ディスコース ―談話の織りなす世界―』

 談話分析の全体を、特定の立場に偏らずに見渡すことを意図して書かれた概説書。『現代英語教育』(研究社出版)に連載された「談話分析の基礎と応用」に若干の修正と補筆が施されている。第1部「基礎編 ―談話分析の前に」は、「談話とは何か」「ことばの構造」「テクストとコンテクスト」「談話とコミュニケーション」「データの収集と文字化」の五章からなる。第2部「方法論 ―代表的アプローチの特徴」は、談話分析とそれに関連する代表的な立場や方法についての解説であり、「レトリック」「談話文法」「発話行為論」「語用論」「コミュニケーションの民族誌」「会話の諸相」「非言語コミュニケーションの研究」など計十四章からなる。第3部「応用編 ―さまざまな分野に役立てる」は、「法言語学」「文体論」「教科書づくり」など計六章からなり、談話分析が現実世界の解読に役立ち、言語生活の改善に手がかりを与え得るということを示そうとしている。各章は「キーワード・本文・課題・さらに知りたい読者のために」という構成になっている。

(1999年4月2日発行 くろしお出版刊 A5判横組み p231 2400円)