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新刊紹介 (53巻2号(209号)掲載分)

「新刊書目」の一部について,簡単な紹介をしています。なお,論文集等については,論文リストを添えるなど、雑誌『国語学』掲載分と一部異なる点があります。(価格は本体価格)

カレル・フィアラ著『日本語の情報構造と統語構造』

 日本語の文および談話の構造をチェコ語との比較を交えながら総合的に捉えようとするものである。全体は大きく4つの部に分かれる。

(2000年7月15日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 492ページ 28,000円)

坂原茂編『認知言語学の発展』

 『認知科学』3-3(1996)の認知言語学特集をきっかけに生まれた論文集である。レイコフ,ラネカー,フォコニエ,タルミーなどこの立場を形成した研究者たちの基本的文献を初めとする合計10編の論文が収録されている。「まえがき」(坂原茂)にはこの分野の歴史的背景と収録論文の概要とが書かれている。題名・執筆者・内容は以下のようになっている。

(2000年8月10日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 465ページ 4,400円)

山口光著『還元文法構文論―再検討・三上文法―』

 三上文法を検討し,それを批判・継承・発展させた著者の考えを,一定の手続きに従って文法書としてまとめたものである。章立て・内容は以下のようになっている。

なお,「付1」として「MBK(三上文法研究会)年譜」,「付2」として「山口光発表論文」(過去に発表した三上章の文法論についての論が中心である。)を収録している。

(2001年7月15日発行 めいけい出版発行・くろしお出版刊 B6判横組み 340ページ 3,000円)

山梨正明・辻幸夫・西村義樹・坪井栄治郎編『認知言語学論考―No.1 2001―』

 認知言語学に関する論文集である。収録論文は、以下の通り。

(2001年9月5日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 319ページ 3,800円)

金田章宏著『八丈方言動詞の基礎研究』

 八丈方言の体系的記述をする一過程として,動詞の文法的な側面について詳述したものである。方言を扱った研究という観点のほか,活用・アスペクト・テンス・ムードなどのカテゴリーが方言でどのようになっているかという文法的観点から本書を見ることもできる。(文法の基本的な枠組みに関しては高橋太郎ほか『日本語の文法』《未公刊の文法教科書》に依ったとのことである。)なお,巻末に目次細目があり,扱われている内容を一覧できる。

(2001年9月9日発行 笠間書院刊 A5判横組み 545ページ 15,000円)

山田潔著『玉塵抄の語法』

 室町末期の口語資料『玉塵抄』の用例を資料としてその語法の分析を行った論文をまとめたものである。

(2001年9月10日発行 清文堂出版刊 A5判縦組み 401ページ 11,500円)

 ◆54巻2号(213号)に書評を掲載

桑田明著『古典に近づく文法』

 古典を正しく読むための文法を解明するという立場から,従来気付かれていなかったことがら,あるいは十分に論議されてこなかったり,誤った説が引き継がれていると思われる点について述べたものである。前著『日本文法探究』『義趣討究小倉百人一首釈賞―文学文法探究の証跡として―』で扱ってきた問題に対する新しい考察が示される。全体は前編と後編に分かれる。章立ては以下のようになっている。

(2001年9月15日発行 風間書房刊 A5判縦組み 431ページ 9,500円)

碁石雅利著『平安語法論考』

 平安時代を中心とした語法および表現形式に関する論考をまとめたものである。

なお,関連既発表論文は巻末に記されている。

(2001年9月20日発行 おうふう刊 A5判横組み 255ページ 12,000円)

小野米一著『移住と言語変容―北海道方言の形成と変容―』

 北海道方言を対象として移住と言語変容に関する研究をしてきた長年の成果をまとめたものである。章立ては以下のようになっている。

(2001年9月20日発行 渓水社刊 A5判横組み 277ページ 4,500円)

佐佐木隆著『万葉集構文論』

 語構成や訓読が不明な箇所について構文・表記の面から検討したものであり,同種の試みとして先に出版された『上代語の構文と表記』(ひつじ書房1996),『万葉集と上代語』(ひつじ書房1999),『上代語の表現と構文』(笠間書房2000)に続く著作である。章立ては以下の通りである。(なお,ここでは参考のため,章の後に万葉集における巻-歌番号を記載した。)

(2001年10月1日発行 勉誠出版刊 A5判縦組み 329ページ 9,000円)

水谷修監修 日本語イディオム用例辞典編纂委員会編『日本語イディオム用例辞典』

 日本語教育などの実用面に配慮したイディオムの用例辞典である。ここでは「イディオム」を広くとり,「〜からいうと」などの複合辞,「〜にあかるい」などのように転義して複合辞になったもの,「のみこむ」の「〜こむ」など生産性の高い形式,品詞変更し転義した「および」などの語,「ああいう」などのこそあど表現,「まだ〜ない」などの呼応表現の一部,形式名詞を使った「わけにはいかない」などの表現,等々をまとめて扱っている。ただし,慣用句は扱っていない。取り上げられた形式はその中心的と思われる見出しのものにまとめられる。(「する」の見出しの下に「〜が〜だとすれば」「〜からすると」「〜はするが」(以下略)の項が配列されている。)それぞれについて,「使い方・作り方・類似・注意・例文」(すべての形式にこれらの5つ項がそろっているとは限らない)を挙げている。以下に一例を挙げる。なお,実際には振り仮名が付いているが,ここでは省いた。

〜しぶる[〜shiburu]
使い方 あまりそれをしたくないとき使う
作り方 〈ます形語幹〉+しぶる。次のような動詞。貸します・出します・言います・書きます
注意 名詞形は「〜しぶり」となる。
例文 姉はいつも私の服を借りるのに,私が姉の服を借りようとするといつも貸ししぶる。(例文は複数あるが,以下省略)

(2001年10月1日発行 朝日出版社刊 B6判横組み 461ページ 2,800円)

小泉保編『入門 語用論研究―理論と応用―』

 大学1・2年,高校の英語教師,日本語教師を念頭におき,教科書として役立つよう編集したという語用論の入門書である。基礎的な内容に加えて最近の動向も取り入れ,さらにジョークやレトリックについて触れた章や他分野との関連について触れた章を収録している。章立ては以下の通りである。

(2001年10月15日発行 研究社刊 A5判横組み 243ページ 2,700円)

ダニエル=ロング・中井精一・宮治弘明編『応用社会言語学を学ぶ人のために』

 社会言語学的知識の応用,特に語学教育への応用を意識し,各執筆者がそれぞれのテーマについて基本的な事柄を述べたもので,領域の広さと多面性が感じられる。序章「応用社会言語学ことはじめ」(ダニエル=ロング)では,応用とは何か,どのような応用分野が考えられるかなどについて述べる。全体は5部に分かれる。章立ては以下の通りである。

(2001年10月20日発行 世界思想社刊 B6判横組み 216ページ 1,600円)

小林千草著『中世文献の表現論的研究』

 中世の文献が生み出されたときの現場性に注意し,表現者の意図だけではなく,コミュニケーションの結果として得られる表現性などを総合的に分析していこうとするものである。扱われる対象は,聞書抄物,講義を想定して書かれた抄物,狂言,キリシタン資料,文学作品など様々であるが,単なる調査に終わる研究ではなく,人や文化に迫ろうとする姿勢が示される。章立ては以下の通りである。

(2001年10月20日発行 武蔵野書院刊 A5判縦組み 689ページ 18,000円)

 ◆54巻1号(212号)に書評を掲載

日本語研究会編『日本語史研究の課題』

 日本語研究会(年2回)は,北原保雄・前田富祺・山口佳紀の各氏が中心となって1970年代の半ばに始めた会である。本書はこの会が50回を迎えたことを記念して出版された論文集である。収録された論文は以下の通りである。

なお,巻末に「日本語研究会の記録」が収録されている。

(2001年10月25日発行 武蔵野書院刊 A5判縦組み 271ページ 5,000円)

飛田良文編『日本語行動論』

 日本語教育学シリーズの第2巻である。章立て・キーワード・内容は以下の通りである。

(2001年10月25日発行 おうふう刊 A5判横組み 238ページ 2,500円)

小松英雄著『日本語の歴史―青信号はなぜアオなのか―』

 本書は,素朴で具体的な疑問から出発して,通説にとらわれずに日本語の変化の姿を考えていくことの大切さを訴えようとするものである。日本語史で重要なのは,単なる過去の事実ではなく,日本語を「日本語話者にコントロールされている動的体系」として把握しその変化の機構を理解することだと著者は説く。その姿勢から一般の日本語史概説書の記述の誤りを指摘し,事実に即して考えれば歴史的な変化の動因や意味に関してどのような結論が得られるかを示す。章立ては以下の通りである。

(2001年10月30日発行 笠間書院刊 B6判横組み 256ページ 1,900円)

田中克彦著『差別語からはいる言語学入門』

 本書は,差別語の問題を,糾弾すべき問題あるいはそれから身をかわす方法として見るのではなく,言葉の本質と原理を深く考えてみるための契機として捉えるという立場から執筆されたものである。現実と言葉(この場合は差別と差別語)との関係,言語における事柄に関わる部分とものの見方に関わる部分の関係など複雑な問題を考慮に入れつつ,様々な事柄を扱っている。章立ては以下の通りである。なお,もともと第6講までは季刊の文芸誌『小説トリッパー』(朝日新聞社)に掲載され,それ以降はその雑誌に第7・8講が掲載されなかったことから掲載紙を『部落解放 なら』に変えて掲載されたものである。

(2001年11月15日発行 明石書店刊 A5判縦横組み 187ページ 1,800円)