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新刊紹介 (『日本語の研究』第1巻2号(通巻221号)掲載分)

「新刊書目」の一部について,簡単な紹介をしています。なお,論文集等については,論文リストを添えるなど,雑誌『日本語の研究』掲載分と一部異なる点があります。(価格は本体価格)

村山昌俊著 『明治時代語論考』

 近代語研究にかかわる既発表論文に新規執筆論文を加え、一書としたものである。第1章「橋爪貫一と『世界商売往来』」は、以下の章にある論考の出発点として位置づけられるもので、『世界商売往来用語索引』研究編(飛田良文と共著、武蔵野書院 2000年9月)に載せた書誌を収める。第2章「音韻」は、近代語の音訛、口語形、字音のゆれなどを扱ったものである。第1節「橋爪貫一の言語と往来物にみる音訛形」、第4節「昭和初期の埼玉県粕壁(春日部)方言について」は新規執筆である。第3章「語彙・語法」は「とんだ」、「とんでもない」などを扱った論考や、明治初期の漢語を扱った論が並ぶ。第3節「明治期東京語の使役形について」は新規執筆である。第4章「辞書・表記」では、『五国語箋』、『内外新聞画引』、公用文などを扱っている。

(2003年11月10日発行 おうふう刊 A5判縦組み 356ページ 16,000円+税 ISBN 4-273-03299-6

影山太郎・岸本秀樹編 『日本語の分析と言語類型―柴谷方良教授還暦記念論文集―』

 柴谷方良教授にカリフォルニア大、神戸大で教えを受けた人を中心にして、大学での元同僚からの論も含めた計33編を収めている。冒頭に「柴谷言語学の軌跡」(影山太郎・岸本秀樹)が置かれ、経歴・研究業績を紹介するとともに、その研究の意義を論じている。全体は2部に分かれている。第1部「日本語の分析」には、影山太郎、Alan Hyun-Oak Kim、金水敏、Hideki Kishimoto、Haruo Kubozono、盧濤、眞野美穂、三木望、Masako Ohara、小野尚之、定延利之、田守育啓、池野修、有働眞理子、馬田一郎、吉村公宏の論文が収められている。第2部「諸外国語と言語類型」には、Mark Campana、Dileep Chandralal、鄭聖汝、林博司、Takanori Hirano、今里典子、Ken-Ichi Kadooka、Masumi Katagiri、桐生和幸、栗林裕、Ikuko Matsuse、Shinobu Mizuguchi、西光義弘、Akio Ogawa、Prashant Pardeshi、Lawrence Schourup、角田太作の論文が収められている。

 目次は以下のようになっている。

(2004年7月4日発行 くろしお出版刊 A5判横組み 585ページ 5,400円+税 ISBN 4-87424-306-1

築島裕編 『高野山西南院蔵本 和泉往来総索引』

 和泉往来は文治2年(1186年)の書写奥書を有する最古の往来物である。その訓点は同年のものと考えられ、詳細かつ特異なものとして、重要な資料的価値を有する。本書は、和泉往来の影印および翻字を収め、さらに全文読み下し文を添え、和訓索引、字音索引、漢字索引を作成したものである。従来の研究では、西崎亨「高野山西南院本和泉往来和訓索引」(『訓点語と訓点資料』42 1970年5月)、遠藤嘉基による『和泉往来高野山西南院蔵』(京都大学国語国文資料叢書28 1981年12月)があり、また、山田忠雄の解説による複製本が貴重古典籍刊行会から出されている。それらを踏まえつつ、全文読み下しを試みたこと、字音索引、漢字索引を初めて作成したことが本書における重要な点である。

(2004年7月15日発行 汲古書院刊 A5判縦組み 330ページ 11,000円+税 ISBN 4-7629-3338-4

町田健編 加藤重広著 『日本語語用論のしくみ』

 「シリーズ・日本語のしくみを探る」の第6巻である。これまでのこのシリーズのやり方を踏襲し、Q1〜Q14の疑問をきっかけに話を進めるという形式で書かれている。全体は4章に分かれている。第1章「語用論の出発点」では、語用論の歴史や、この分野で扱われる問題について概説する。第2章「語用論の展開」では、グライスの着想とその継承、近年の関連性理論、ポライトネスの概念などを説明する。第3章「日本語への応用」では、指示詞、照応、タ形と長期記憶参照、「は」と情報の活性化、談話標識、文末の「よ」と「ね」の機能などを扱う。第4章「語用論の可能性」では、語用論の応用分野を扱う。広告表現や情報提示などを扱い、今後、語用論が重要性を増すであろうと述べる。巻末に「さらに勉強したい人のための参考文献」を載せる。

(2004年7月20日発行 研究社刊 A5判縦組み 277ページ 2,400円+税 ISBN 4-327-38306-6

佐藤滋・堀江薫編 『対照言語学の新展開』

 東北大学大学院国際文化学研究科異文化間教育論講座創設10周年を記念して、その講座にかかわった研究者の論文をまとめたものである。全体は4部に分かれている。第1部には日英語の対照を認知・機能言語学的手法で扱った論4編、第2部には日英語の対照を生成言語学・形式意味論的手法で扱った論7編を収録。第3部には、日韓対照の論5編、第4部には、日本語とその他の言語の対照、あるいは類型論的研究の論8編を収載。執筆者の顔ぶれは、巻頭言の柴谷方良、序文の佐藤滋・堀江薫のほか、論文編に、小野尚之、菊地敦子、佐々祐子・佐藤滋・川島隆太、白井恭弘、川平芳夫、小林昌博、高橋大厚、仁科弘之、山田誠、遊佐典昭、吉本啓、上原聡、平香織、塚本秀樹、堀江薫・近藤絵美・姜奉植・守屋哲治、若生正和、大堀壽夫、北野浩章、佐々木冠、ダニエラ=カルヤヌ、中村渉、ハイコ=ナロック、村上雄太郎(レー=バン=クー)となっている。

目次は以下のようになっている。

(2004年7月20日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 532ページ 14,000円+税 ISBN 4-89476-217-X

山田敏弘著 『国語教師が知っておきたい日本語文法』

 国語教師にむけた日本語文法の解説書である。ただし、従来の国語教育における文法体系を説明したものではなく、現在の日本語学・日本語教育における日本語文法研究の成果を少しずつ取り入れ、これまでの学校文法に足りなかったところに注意を向けつつ、より良い文法教育を考えていこうとする試みである。著者が、これから国語教育を行う可能性がある教育学部の学生を前にして講義を行う中で作り上げていった内容だという。構成は、各節冒頭で学校文法における説明を挙げ、時にはその体系に簡明な解説を加え、次にそれへの疑問点を示し、それに対して、どう考えればよいのかを説明するという形になっている。

 目次は以下のようになっている。
§1品詞、§2活用、§3文の組み立て、§4格助詞、§5副助詞、§6接続助詞、§7連用修飾・連体修飾、§8助動詞(1)〜受身・使役・可能〜、§9助動詞(2)〜否定・時間〜、§10助動詞(3)〜話し手の出来事に対する捉え方ともくろみ〜、§11助動詞と似た働きの形式(1)〜評価と働きかけ〜、§12助動詞と似た働きの形式(2)〜補助動詞〜、§13敬語、§14文章・談話、§15文法とは

(2004年8月26日発行 くろしお出版刊 A5判横組み 192ページ 1,600円+税 ISBN 4-87424-310-X

遠藤織枝ほか著 『戦時中の話しことば―ラジオドラマ台本から―』

 ラジオで放送されたドラマ台本(小林勝脚本)をデータベース化し、それをもとに、その言語面および内容面の分析を行った論文を収録したものである。なお、付録CD-ROMには、この台本資料が収められている。序章「資料解説」(遠藤織枝・木村拓)で、資料の性質等に触れ、電子化処理方法を記す。以下は2部に分かれる。第1部は、言葉の分析をした論文を集めている。「戦時中の話しことばの概観―現代語と比較しながら」(遠藤織枝)では、人称詞、終助詞、助動詞、動詞などに関して、各々、特徴を探る。他に、鈴木智映子、桜井隆、安田敏朗の論考がある。第2部は、ドラマの内容面の分析(あるいはそこに見られる文化面の研究)を行ったもので、 「『戦争キーワード』から見る戦時中のラジオドラマ」(早川治子)や、その他の前出執筆者の論考がある。

 目次は以下のようになっている。

(2004年9月6日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 273ページ 3,800円+税 ISBN 4-89476-222-6

論集編集委員会編 『日本語教育学の視点―国際基督教大学大学院教授・飛田良文博士退任記念―』

 論文37編を収めた退任記念論文集である。冒頭に「日本語教育学の基本原理」(飛田良文)があり、日本語教育における話し言葉と書き言葉の技能の問題をきっかけとして、日本語教育「学」における基本的な問題を述べる。以下は4章に分かれる。第1章「異文化接触」には、古藤友子、李漢燮、陳力衛、呂玉新、村上陽一郎、佐藤夕子、James W.Tollefson、日比谷潤子、木下哲生の論9編を収める。第2章「日本語教育」には、村野良子、池田伸子、山下早代子、石川貴裕、田中真理、田口雅子、多田洋子、有元秀文、中村妙子の論9編を収める。第3章「言語の構造」には、吉田智行、佐藤豊、Peter McCagg、松井智子、城生佰太郎、浅田秀子、松中完二、洲脇泰の論8編を収める。第4章「日本語の歴史」には、George Bedell、鈴木泰、小林賢次、孫建軍、鄭英淑、小平友美、杉本雅子、蔡洙静、鈴木庸子、林徹の論10編を収める。

 目次は以下のようになっている。

(2004年9月25日発行 東京堂出版刊 A5判横組み 574ページ 12,000円+税 ISBN 4-490-20528-7

安田敏朗著 『日本語学は科学か―佐久間鼎とその時代―』

 佐久間鼎に焦点を当て、その時代ごとの主張を見ていくことを通して、日本語学という学問の登場とその時代背景、内容、限界、さらには科学や学問について考えていこうとしたものである。第1章で佐久間以前の帝国大学言語学・国語学の状況を確認し、第2章で、1930年代の言語研究の展開を記述する。第3章で1910年代の佐久間のアクセント・音声研究とその研究姿勢を紹介し、第4〜5章で、1930年代には佐久間の学説がどのようになったかを描く。ここでは、事実の観察から法則を導くという「科学」的観点を佐久間は持っており、その点では日本精神称揚論者とは一線を画してはいたが、法則を求める=まとまりを求める=標準を求める=異質なものを排除する、という面があり、また、観察重視ならば、文語・口語が混じった日本語の事実を認めるはずだが、「健康」な日本語は生活の「場」に立脚した口語であるべきだという主張をしていることを指摘している。第6章で1940年代前半の、第8章で戦後の佐久間について、同様の趣旨の著書(40年代は東アジアの言語として、戦後は国際補助語として日本語がふさわしいという主張)を出しており、客観性を重視する姿勢がたやすく何らかの主張と結びつくことを示す。第7章では当時の新メディアであるラジオについての佐久間や他の研究者の見解を紹介し、終章では科学や学問についての考察を展開する。

 目次は以下のようになっている。

(2004年9月30日発行 三元社刊 A5判縦組み 344ページ 2,900円+税 ISBN 4-88303-149-7