日本語学会

ホーム > 研究情報 > 新刊紹介 > 新刊紹介 (『日本語の研究』第2巻2号(通巻225号)掲載分)

新刊紹介 (『日本語の研究』第2巻2号(通巻225号)掲載分)

「新刊書目」の一部について,簡単な紹介をしています。なお,論文集等については,論文リストを添えるなど,雑誌『日本語の研究』掲載分と一部異なる点があります。(価格は本体価格)

水谷誠著 『『集韻』系韻書の研究』

中国韻書『集韻』に関する成立論である。『集韻』の研究は『広韻』や『玉篇』に比べて少ない。『広韻』以後の音韻史研究のためにも『集韻』などの文献の基礎的事実を整備・確定しなければならないのであり、成立に関する研究はその一環である、という立場を著者はとっている。第1部では『礼部韻略』を主に扱っている。この文献は、『集韻』を構成する基本骨格が見られるものであり、その各本(「附釈文本」、「増韻本」、「真福寺本」)を比較したり、それぞれの本の性質を明らかにしたりする。第2部では『集韻』がどのような性質を持つかを、他系統の韻書と比較して検討する。また、『集韻』との関係が従来から指摘されてきた本との関係を精査したり、『集韻』との関係がこれまで指摘されてこなかった本について調査したりしている。

目次は以下のようになっている。

  1. 『礼部韻略』
    • 第1章『礼部韻略』における「諱名韻」について
    • 第2章「真福寺本」について―特に、小韻・反切・増字について―
    • 第3章「真福寺本」の義注について
    • 第4章「附釈文本」の祖本はどこまでさかのぼれるか
    • 第5章「附釈文本」義注より見た『集韻』義注
    • 第6章「附釈文本」における韻図技法の影響について
  2. 『集韻』
    • 第7章『礼部韻略』『集韻』『広韻』三書比較考―「真」「諄」韻及び反切を中心として―
    • 第8章『群経音辨』から見た『集韻』と『経典釈文』
    • 第9章『集韻』は『経典釈文』をどのように利用したか
    • 第10章『集韻』における『経典釈文』の二層に分かれる利用形態について
    • 第11章『集韻』義注の信頼性について
    • 第12章『大宋重修広韻』と『大広益会玉篇』―『集韻』へとつながる位相について―

(2004年11月5日発行 白帝社刊 A5判横組み 203ページ 4,800円+税 ISBN 4-89174-692-0

赤瀬川史朗・中尾浩著 『コーパス言語学の技法2―言語データの収集とコーパスの構築―』

同題名の第1巻「―テキスト処理入門―」に続く第2巻である。第1巻では、「パソコン操作の基礎」から始め、「テキストファイルとは」、「テキストの一括処理とは」などの基礎的な内容を扱っていたが、この第2巻「―言語データの収集とコーパスの構築―」では、コーパス構築のための諸技法(入力方法、Perlなどによるテキスト処理方法)を扱っている。第1章「キーボードからの直接入力」では、基礎中の基礎であるデータの打ち込み(自分で打ち込む際の効率的方法)について述べる。(著者は、自分でデータを入力したことがないようではコーパス言語学をやる資格はないと述べている。)第2章「OCRによる入力」では、スキャンの説明から校正の問題までを扱う。第3章「インターネットの活用」では、ネットから得られるデータの種類やダウンロード方法について述べる。第4章「Perlによるテキスト処理の基本」では、ファイル操作、ディレクトリ操作、文字列処理について述べる。第5章「Perlによるテキスト処理の実際」ではHTML→TXT変換など様々なファイルをテキストファイルに変換する方法について述べる。第6章「GUIソフトによるファイル操作の実際」は、Perlのようなスクリプトを使う方法よりも、GUIソフトを使用したい人のために、ソフトとその扱い方を紹介する。第7章「GUIソフトによるテキスト変換の実際」はソフトの紹介と、それを使った変換方法を述べる。

目次は以下のようになっている。

(2004年11月25日発行 夏目書房刊 A5判横組み 402ページ 3,800円+税 ISBN 4-931391-71-0

西光義弘・水口志乃扶編 『シリーズ言語対照〈外から見る日本語〉 3 類別詞の対照』

益岡隆志編 『シリーズ言語対照〈外から見る日本語〉 5 主題の対照』

日本語における各テーマを、日本語だけで見るのではなく、諸言語の同種の現象を扱って、その中でどのような位置を占めるのかを考えていこうとするシリーズの第3巻と第5巻である。第3巻は、類別詞(名詞の意味的分析を表す言語手段で、例えば、助数詞はその一種)について、その定義、理論的考察を行い、「粒」「名」「匹」「個」等々の個別の検討をする。また、ビルマ語とネワール語の類別詞についても述べる。第5巻は、2003年7月に行われたシンポジウムでの発表と、それらに対するコメントをまとめたものである。第1部「論文編」では日本語、中国語、景頗語、ビルマ語、フィリピン諸語、英語、スペイン語、ロシア語、マテンゴ語の「主題」についての論文を収める。第2部 解説(コメント)編では、主題の対照をする際には何が要請されるか、諸語との対照を踏まえて主題の本質とは何かという問題についての見通しを述べる。

各巻の内容は以下のようになっている。

第3巻 『類別詞の対照』

第5巻『主題の対照』

第3巻(2004年11月3日発行 くろしお出版刊 A5判横組み 217ページ 3,000円+税 ISBN 4-87424-313-4
第5巻(2004年12月1日発行 くろしお出版刊 A5判横組み 227ページ 3,000円+税 ISBN 4-87424-314-2

京都大学文学部国語学国文学研究室編 『(両足院叢書 影印 毛詩抄 林宗二林宗和自筆・毛詩環翠口義 上・下』

『毛詩抄』の中でも最善本と見られる建仁寺両足院蔵のもの(清原宣賢による「毛詩(詩経)」講義を、林宗二・林宗和が直接受講して、あるいは受講者の聞き書きを基にして天文八(1539)年に書いた抄物資料)を影印したものである。上巻には第1冊〜第7冊(巻1〜巻10)、下巻には第8冊〜第13冊(巻11〜巻20)を収録している。上巻には「はじめに」、下巻には「解説」(ともに木田章義)が収められており、資料の性質等(抄物とは何か、両足院本の性格、講義者や筆録者についての説明)が記述されている。資料の傷みなどによる難読箇所については下巻左開きページに、諸本を参考にした推定本文が挙げられている。

(2005年1月30日発行 臨川書店刊 A5判縦組み 上巻734ページ・下巻736+21ページ 2冊セット28,000円+税 ISBN 4-653-03955-0

国立国語研究所編 『雑誌『太陽』による確立期現代語の研究―『太陽コーパス』研究論文集―』

国立国語研究所では、現代語確立期の実態調査のために、博文館の雑誌『太陽』(1895年創刊)を基にしたコーパス(大規模電子化資料)を構築した。本書はその設計に関わる論文と、それを使ってどのような研究ができるかを追究した論文を収めたものである。第1部「設計」では、『太陽』が持つ資料特性(英語などの場合にはない特性)をすくい上げて適切なコーパスを作成するときには、どのような問題点があり、現実の処理はどうしたかについて述べる。また、検索や応用する際の技術的背景について述べる。第2部「活用」では、語彙(漢語研究等)、文法(接続詞・副詞・敬語・可能形等)、文字・表記(漢字、異体仮名、濁音表記、仮名遣い等)の3分野に関して、コーパスを使った研究論文が収録されており、コーパス言語学的手法による日本語学研究の可能性が示されている。なお、この論文集の基礎となったデータベースは、国立国語研究所編『国立国語研究所資料集15 太陽コーパス―雑誌『太陽』日本語データベース―CD-ROM版』(博文館新社 9,500円 ISBN4-86115-156-2)という形で販売されている。

目次は以下のようになっている。

(2005年3月31日発行 博文館新社刊 A5判横組み 390ページ 7,500円+税 ISBN 4-86115-155-4

中井精一編 『社会言語学の調査と研究の技法―フィールドワークとデータ整理の基本―』

社会言語学における基礎的データの取り扱いを始めとして、主にGISソフトによるデータの地図化、音声言語地図の作成などの技法を学ぶためのテキストである。第1章「調査データの収集について」で調査票を使ったフィールドワークの概略について簡単に紹介し、第2章「Excelを用いた調査結果の電子化と集計」で表計算ソフトによるデータの整理方法について説明する。第3章「MANDARAによる言語地図作成」で地図情報システム(GIS)ソフトを使って言語地図を作成する方法を解説し、第4章「既存データによる地図化」でこれまで蓄積されたデータを地図化することを試みる。第5章「MANDARAとAcrobatによる音声言語地図の作成」では、地図で示されたデータをクリックするとその方言の音声が聞けるような仕組みの作り方を、第6章「ArcGISの導入と紹介」ではより高度な能力を持つGISソフトについて述べる。第7章「言語地図作成の歴史と情報処理」は、言語地図作成の研究史と今後の展望を述べる。

目次は以下のようになっている。

(2005年4月30日発行 おうふう刊 B5判横組み 161ページ 2,500円+税 ISBN 4-273-03378-X

北原保雄監修 早田輝洋編『朝倉日本語講座 1 世界の中の日本語』

北原保雄監修 林史典編 『朝倉日本語講座 2 文字・書記』

朝倉日本語講座(全10巻)の第1巻と第2巻である。第1巻は、諸言語の音韻・語彙意味・文字・敬語・方言・自国語教育・言語政策と、日本語のそれとを対照しながら、日本語の特色を明らかにしようとする。また、日本語の文構造(階層構造)、日本語の系統論、日本語教育についても述べる。(執筆者:早田輝洋、長嶋善郎、田窪行則、吉田和彦、川崎晶子、中島由美、松本克己、甲斐睦朗、カイザー=シュテファン、上野田鶴子)第2巻は、古代における漢字の導入、仮名の誕生、古事記・万葉集の書記法、書記法の原理と仮名文・漢字仮名交じり文、仮名遣い、漢字音、国字問題、文字の研究史について述べる。(執筆者:林史典、佐竹秀雄、犬飼隆、月本雅幸、佐佐木隆、伊坂淳一、迫野虔徳、小倉肇、沼本克明、肥爪周二、小林一仁、矢田勉)

各巻の内容は以下のようになっている。

山内博之著 『OPIの考え方に基づいた日本語教授法―話す能力を高めるために―』

本書は、OPI(全米外国語教育協会が開発した会話能力テスト)の考え方を日本語の教え方(話す能力の養成)に応用しようという内容を扱ったものである。全体は3部に分かれる。第1部「理論」では、OPIの基本的な考え方や、テストであるOPIを授業で生かすというのはどういうことなのかを説明している。第2部「方法」では、OPIで使われる具体的方法(ウォームアップや突き上げなど)を紹介し、詳しく説明している。第3部「教材」では、OPIの考え方を授業の実践場面で使う方法や、その考え方に基づいた教材作りについて述べている。なお、本書は『月刊日本語』(アルク)の2001年11月号から2003年3月号にかけての連載に大幅な加筆・修正を行ったものである。

目次は以下のようになっている。

(2005年6月25日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 190ページ 2,200円+税 ISBN 4-89476-253-6

中島平三編 『言語の事典』

言語研究の成果を領域別・分野別に概説する事典である。各分野の基本的事項だけではなく、研究小史により従来の研究の流れをまとめたり、重要な参考文献に関しては、解題を載せたりしている。また、分野ごとに「目標」を掲げ、その研究が目指している内容を要約したり、欄外に「まとめ」を入れるなど、内容理解が進むようにいろいろな工夫がなされている。全体は3部に分かれる。第1部「言語の体系」は、「音声学」(城生佰太郎)、「音韻論」(窪薗晴夫)、形態論(伊藤たかね)を含む11章で、言語学の基本領域を扱っている。第2部「言語の関連領域」では、「言語獲得」(磯部美和・大津由紀雄)、「第二言語習得」(平川眞規子)、「言語障害」(毛束真知子)を含む13章で、言語学応用・関連領域を扱っている。第3部「言語の多様性」では、「言語の起源」(金子亨)、「地域方言」(篠崎晃一)、「言語類型論」(角田太作)、「日本語の特性」(井上優)など、言語の多様性(諸特性)と普遍性(共通性)を扱っている。

目次は以下のようになっている。

(2005年6月30日発行 朝倉書店刊 B5判横組み 748ページ 28,000円+税 ISBN 4-254-51026-8

平川南・沖森卓也・栄原永遠男・山中章編 『文字と古代日本 1 支配と文字』『文字と古代日本 2 文字による交流』『文字と古代日本 3 流通と文字』

歴史学・考古学・日本語日本文学などの各分野の研究から、古代日本における文字世界の実態を明らかにし、古代社会の実像を解明しようとするシリーズ(全5巻)の第1巻から第3巻である。第1巻『支配と文字』では、鏡・有銘刀剣・碑、行政文書(宣命・律令など)、事務文書(帳簿・勤務評定など)に見られる文字を探り、政治支配と文字の関係を考える。第2巻『文字による交流』では、伝達・記録方法(口頭と文書、絵図と文書、木と紙など)、中国・朝鮮における文書行政の仕組みについて述べ、さらに外交・軍事面に見られる文字について見ていく。第3巻『流通と文字』では、財政(予算・決算・税等)、流通(市・通行証等)、生産・管理(土地支配、物品の請求・管理、銅や瓦の生産)における文字使用を概観し、古代の財政・経済の実相を観察する。

各巻の内容は以下のようになっている。

第1巻 支配と文字

第2巻 文字による交流

第3巻 流通と文字

第1巻(2004年12月1日発行 吉川弘文館刊 A5判縦組み 360ページ 6,500円+税 ISBN 4-642-07862-2
第2巻(2005年3月1日発行 吉川弘文館刊 A5判縦組み 372ページ 6,500円+税 ISBN 4-642-07863-0
第3巻(2005年7月1日発行 吉川弘文館刊 A5判縦組み 330ページ 6,300円+税 ISBN 4-642-07864-9

文化庁文化部国語課編 『平成16年度国語に関する世論調査 敬語・漢字・言葉の使い方』

文化庁が毎年行っている国語に関する世論調査の結果を報告したものである。(16歳以上の3000人を対象に個別面接形式で調査。有効回答数2179。)本年度は、言葉に対する意識、敬語についての知識や意識について、手書きをするか否かについて(そのときに漢字の使用についての違いがあるかについて)、常用漢字について、慣用句などの知識について(「青田買い」、「汚名返上」、「伝家の宝刀」)、新しく聞かれるようになった言い方(「わたし的には」、「うざい」など)に対する意識などについて、等々の調査項目が立てられており、地域別・年齢別などの分析結果が表やグラフなどの形で提示されている。なお、以前の調査項目と同様の項目を立て、それとの比較を行っている部分がある。

(2005年7月13日発行 国立印刷局刊 A4判縦横組み 99ページ 1,200円+税 ISBN 4-17-196059-2

由本陽子著 『複合動詞・派生動詞の意味と統語―モジュール形態論から見た日英語の動詞形成―』

複合動詞・派生動詞の語形成に関わる原理を解明しようとしたものである。語形成は語彙部門・統語部門など複数部門の諸レベルで起こるというモジュール形態論仮説の立場に立ち、その立場に立って行われた従来の研究を修正したり、新たな言語事実を指摘して仮説の正しさを主張したりする。全体は6章に分かれる。第1章「語形成と概念構造」では研究の目標と前提について述べる。第2章「英語の派生動詞」では、英語の語形成が主に接頭辞付加によるのはなぜかという問題について考察を行う。第3章「日本語の複合動詞1」では、語彙的な複合動詞は語彙部門の語彙概念構造レベルで扱うべき対象であると主張する。第4章「日本語の複合動詞2」と第5章「日本語の複合動詞3」では、統語的複合動詞を扱い、その構造について新たな提案をし、意味作用についても考察する。第6章「語形成のモジュラリティと意味解釈」では、意味的観点からもモジュール形態論の正しさが支持されると述べる。なお、本書は大阪大学に提出した学位申請論文に加筆修正を行ったものである。

目次は以下のようになっている。

(2005年7月20日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 376ページ 6,800円+税 ISBN 4-89476-261-7

友定賢治著 『育児語彙の開く世界』

「生活語彙の開く世界」シリーズの第4巻である。大人が幼児に向けて発する「マンマ」「ワンワン」などのような言葉を「育児語」と呼び、それに関する多方面からの研究をまとめたものである。第1章「「育児語」とその研究」では、基本概念、研究史などを扱う。第2章「育児語という語集合の特徴―動作語について」では、「ダッコスル」などの動詞を扱い、その出自・語形について述べる。第3章「育児語の語形」では、語形の特徴やイメージ喚起力などについて述べる。第4章「汎用」では、例えば「マンマ」が「ご飯・お菓子・くだもの」や「食べる」などのいろいろな意味で使われる現象について考える。第5章「育児語の出自」では、衣服・魚などを意味する育児語が、各地でどう違っているか(俚言)を見ていく。第6章「育児語の伝承」では、伝承の様相についての調査結果を記す。第7章「ベビートークの特徴」では、幼児向けの話し方の分析を行う。第8章「まとめ―育児語彙の開く世界」では、全体のまとめを行う。

目次は以下のようになっている。

(2005年8月25日発行 和泉書院刊 A5判横組み 248ページ 2,800円+税 ISBN 4-7576-0325-8

鈴木丹士郎著 『江戸の声―話されていた言葉を聴く―』

江戸時代の話し言葉の実態を紹介したものである。当時の言葉の様子をうかがう資料として、諸文献における登場人物の会話部分を挙げたり、聞書・伝記類などを使っている。第1章「子どもたちのさざめき」では、滑稽本『浮世風呂』、人情本『仮名文章娘節用』の会話部分、読本『夢想兵衛胡蝶物語』の記述を引用しながら、江戸時代の幼児語について述べる。第2章「女性たちのかまびすしき話し声」では、『教草女房形気』、『四十八癖』などにより、町人層上流の女性が武家奉公に出て、お屋敷言葉を身につけ、それを使用する様子を紹介する。また、町人層下流の女性の言葉を下女同士の会話などで見ていく。第3章「身分がもの言う武士のことば」では、呼称(一人称)を中心に『東海道中膝栗毛』、『七偏人』における武士や偽武士の言葉遣いを観察する。また、臣下・側臣の聞書、名君行状記、伝記などを使って、上流武士の日常語の実態を解明する。第4章「通じ合う江戸市中の方言」では、方言の東西差を解説しつつ、『浮世風呂』における上方出身女性と江戸生まれ女性の言葉論争を紹介する。

目次は以下のようになっている。

(2005年8月27日発行 教育出版刊 B6判縦組み 190ページ 1,500円+税 ISBN 4-316-35940-1

内田賢徳著 『上代日本語表現と訓詁』

漢字で書かれた文献をどう読む(訓読する)のか、そのように読んだことにどのような意味があるのか、をめぐって検討・発表された諸論考を一書にまとめたものである。序章「文字表現と以前」では、日本語と文字との出会い、日本語をその文字で書き表すことによる様々な局面を論述する。第1章「古事記の表現と訓詁」、第2章「萬葉集の表現と訓詁」、第3章「日本書紀古訓」では、それぞれの文献の漢字表現とその訓詁の関係について論じていく。第4章「古辞書の利用」では、『新撰字鏡』や、その他の古辞書の訓義について考える。終章「訓詁の方法と注釈―新しい可能性へ―」は、「訓(よ)むこと」、「釈(と)くこと」の2節から成る。訓詁の学史をたどりつつ、正しい読みを考証することがその作品における意味世界の論理を把握することに繋がると述べる。

目次は以下のようになっている。

(2005年9月10日発行 塙書房刊 A5判縦組み 446+28ページ 11,000円+税 ISBN 4-8273-0096-8

村田雄二郎・C=ラマール編 『漢字圏の近代―ことばと国家―』

東京大学教養学部で開講された連続講義「漢字文化圏の言語と近代」を基にして出版されたものである。したがって、本書の基調は、学部1・2年生向けにアジア漢字圏地域における近代の言語問題を論じ、それを通してこの地域の理解を深めさせようとするものとなっている。全体は3部に分かれる。第1部「ことばと権力」は、「国語・日本語・帝国―言語的暴力をおおいかくすもの―」(安田敏朗)を含む3編を収録する。「国語」の権力性、中国語のジェンダー規制などの内容を扱っている。第2部「古典からの離脱」は、「漢文の命脈―古典文から今体文へ―」(齋藤希史)を含む3編を収録する。文語文としての古典漢文から平易な言葉を中心とした新文体に移行しようとするとき、どのような問題があったかを扱う。第3部「異なる文字体系の狭間で」では、計3編を収載し、ベトナム・朝鮮における漢字世界からの離脱の様相や、19世紀末から20世紀初頭の中国における客家語の状況について述べる。

目次は以下のようになっている。

(2005年9月15日発行 東京大学出版会刊 B6判横組み 222ページ 2,400円+税 ISBN 4-13-08304-2

間宮厚司著 『おもろさうしの言語』

沖縄最古の歌謡集『おもろさうし』についての語学的論考をまとめて一書としたものである。全体は3部に分かれる。第1部「語法に関する論考」は、係り結びの現象を整理して大和古語の係り結びと対照した論考、動詞の解釈(例えば「もて」と書いてあったとき、「持て」なのか「盛て」なのかというような問題)を扱った論考、形容詞の用法を調査し、大和古語と比較した論考を収める。第2部「表記に関する論考」では、助詞ガが「が」・「ぎや」のように両様表記されている現象、「帯」を「オビ」「ウビ」と書いてある現象などを取りあげ、複数の表記が見られるときそれが何を表しているのかを考察する論考を収める。第3部「語源に関する論考」では、オモロ(神歌)、アヂ(按司)、グスク(城)、テダ(太陽)など、個々の語源を探る試みを行っている。

目次は以下のようになっている。

(2005年9月24日発行 笠間書院刊 A5判縦組み 269ページ 5,000円+税 ISBN 4-305-70301-7