日本語学会

ホーム > 研究情報 > 新刊紹介 > 新刊紹介 (『日本語の研究』第2巻4号(通巻227号)掲載分)

新刊紹介 (『日本語の研究』第2巻4号(通巻227号)掲載分)

「新刊書目」の一部について,簡単な紹介をしています。なお,論文集等については,論文リストを添えるなど,雑誌『日本語の研究』掲載分と一部異なる点があります。(価格は本体価格)

陣内正敬・友定賢治編 『関西方言の広がりとコミュニケーションの行方』

関西方言が各地域でどのように受容されているか、その地域においてどのような機能を持っているかを調査・考察したものである。全体は4部に分かれる。第1部「関西方言について」では、大阪言葉の基礎的内容(歴史・現在・談話類型など)について述べる。第2部「各地での受容実態」では、沖縄・福岡・高知・広島・鳥取・奈良・名古屋・東京・東北・北海道の各地域における、関西方言の受容実態について述べる。第3部「広域的受容実態」では、関西方言に関するテーマを設定し、その面から各地域での受容様態を検討している。第4部「関西方言の広がりとコミュニケーションの行方」では、関西的コミュニケーションの特徴とその影響、あるいは、それが受け入れられる背景に存在する社会事情について述べる。

内容は以下のようになっている。

(2005年12月25日発行 和泉書院刊 A5判横組み 338ページ 9,000円+税 ISBN 4-7576-0342-8

高橋忠彦・高橋久子著 『日本の古辞書―序文・跋文を読む―』

平安から室町期における代表的古辞書の序文や跋文を挙げ、その原文・注釈・読み下し文・現代語訳を載せたものである。その他、それぞれの辞書に関する簡単な解説や、編纂姿勢についての解説も記載されている。(これらの内容から、各々の辞書の製作意図を知るとともに、古辞書の歴史に関する概略を掴むことができる。)さらに、それぞれの辞書の一部を図版で示し、それを翻刻したうえで、簡単な解読をしている。扱われている辞書は、『新撰字鏡』、『倭名類聚抄』、『口遊』、『童蒙頌韻』、『色葉字類抄』、『本草色葉抄』、『聚分韻略』、『瑣玉集』、『下学集』、『撮壌集』、『温故知新書』、『色葉字訓』である。序文・跋文は多様な日本漢文で書かれており、その資料として読むこともできる。

内容は以下のようになっている。

(2006年1月20日発行 大修館書店刊 A5判縦組み 160ページ 2,800円+税 ISBN 4-469-22177-5

広瀬啓吉編著 『韻律と音声言語情報処理―アクセント・イントネーション・リズムの科学―』

音声言語情報処理の中でも韻律に焦点を当て、それに関する先端的な研究を紹介したものである。もとになったのは、文部科学省の特定領域研究「韻律に着目した音声言語情報処理の高度化」であり、その研究成果の中から、韻律の分析、モデル化、合成・認識、対話システムでの利用などの工学的な側面に重点をおいた内容を中心に、解説的な部分を増補して一書としたということである。第1章「韻律の観点からの音声言語情報処理研究」、第2章「韻律の特徴とモデル化」、第3章「韻律コーパス」、第4章「音声合成における韻律の生成」、第5章「音声認識と韻律」、第6章「韻律を利用した対話システム」の全6章からなる。

内容は以下のようになっている。

(2006年1月20日発行 丸善刊 A5判横組み 232ページ 3,500円+税 ISBN 4-621-07674-4

文化庁編 『国語施策百年史』

日本の国語施策が国語調査委員会発足から数えて百年になったことを記念して刊行された「国語施策史」である。この百年の間の、国語に関する方針がいかなる状況において、また、いかなる検討を経て出されたものなのかを叙述している。全体は〈本文編〉と〈資料編〉からなる。〈本文編〉では、序章で、以下に述べる各章各節の要約を通覧する。次に時期別に全6章に分け、国語問題(仮名遣い、漢字制限、ローマ字など)の論点と、国語調査委員会・臨時仮名遣調査委員会、国語審議会、文化審議会国語分科会など、調査および方針策定機関の動向を描く。扱われている期間は、前史として扱われている明治初年から、平成17年3月までとなっている。〈資料編〉には、国語施策にかかわる審議会等一覧、その名簿、答申等一覧を収め、さらに、行政担当局、関係法律、国立国語研究所刊行物、年表などを載せている。

内容は以下のようになっている。

(2006年1月20日発行 ぎょうせい刊 A5判縦組み 1006ページ 6,476円+税 ISBN 4-324-07680-4

丹羽哲也著 『日本語の題目文』

現代日本語の題目文(「XはP」を代表例とするような文)に対する著者の見解をまとめたものである。特に「?@題目文(題述関係)とはどのようなものか。 ?A「は」の諸用法はどのような関係を持つか。 ?B「は」以外の題目にはどのようなものがあるか。」(序章1ページより引用)というような問題を中心に考察をしている。序章で基本的な考え方を概説したあと、第1章で題目文の基本構造と使用条件について述べる。第2章では題述関係と格関係との関係を考察し、題目文の基盤がどこにあるかを探る。第3章では題述関係の種類分け、第4章では名詞述語文から形容詞述語文への連続の様相を描く。第5章では「Xは」のXが存在するか否かを問題にするタイプの文、第6章では対比の文、第7章では単純提示用法を扱い、「は」の諸用法のつながりを考える。第8章から第11章は「って」「なら」など、「は」以外の形式で題目を表すものについて検討する。終章では題目と連体修飾の関係について述べる。

内容は以下のようになっている。

(2006年1月25日発行 和泉書院刊 A5判横組み 392ページ 10,000円+税 ISBN 4-7576-0343-6

山本真吾著 『平安鎌倉時代に於ける表白・願文の文体の研究』

日本漢文の研究材料として表白(法会において導師がその趣旨を述べる文書)および願文(法会の主催者の願意を述べる文書)を取りあげ、その文体上の特徴を記述したものである。序論で日本漢文研究の現状とその問題点について触れ、表白・願文研究の意義、その方法について述べる。その後は4部構成になっている。第1部「文献学的研究」では文体以前の問題として、表白・願文の定義、製作、編纂、伝存状況などについて記す。第2部「表白の文体」と第3部「願文の文体」が本書の中心である。文字・表記・修辞(対句など)・類型的句形式、文章構成、語彙など、適切な切り口を選んで、表白・願文の特徴を描く。第4部「表白・願文と和漢混淆文」は、和漢混淆文が表白・願文の文体からどのような影響を受けたかについての論を展開する。

内容は以下のようになっている。

(2006年1月31日発行 汲古書院刊 A5判縦組み 1204ページ 28,000円+税 ISBN 4-7629-3529-8

注:「「おぎろ(〓)」考」の「〓」は、Unicodeで「8CFE」の字。(右側が「責」であり、音「サク」という字。)

山森良枝著 『日本語の限量表現の研究―量化と前提の諸相―』

限定詞(「ほとんど・たくさん」などの語句、「誰か・誰も」などの不定語関連語句、「1冊、2本」などの数量詞等)を使った限量表現について、その解釈の多様性とそれを生み出すメカニズムを明らかにしようとしたものである。全体は8章に分かれる。第1章で見通しを述べた後、第2章と第3章で、否定のスコープの問題を扱う。言語学の一般量子化理論で提案された区別を参考にしつつ、限定詞の論理的特性について述べる。第4章では、推論・含意の問題を「尺度」という概念を使って説明する。第5章では、「不定語+カ」を取りあげ、その多様性が論理的特性以外の量化領域の設定などに関わるものであることを論じる。第6章では、数量詞浮遊構文を扱い、容認の可・不可と、その量化構造の違いとの関連について述べる。第7章では、日本語の名詞における複数表現の研究をする。第8章では、結論をまとめる。

内容は以下のようになっている。

(2006年2月15日発行 風間書房刊 A5判横組み 226ページ 7,500円+税 ISBN 4-7599-1545-1

沖裕子著 『日本語談話論』

談話に関わる既発表論文をまとめて一書としたものである。「談話論」という用語の下に、従来の文章論・談話分析の枠組みでは十分に扱って来なかった論点を統合し、今後の新たな研究の可能性を提示しようとしている。第1部「談話の結節法」は談話という単位の解明を試みる。特に「同時結節」という概念により、動態的な言語観の観点から談話を検討する必要があると説く。第2部「接続詞の意味・用法と談話展開機能」は接続詞の働き、第3部「文体形成における語の役割」では語がどのように文体の違いに関与するかについて述べる。第4部「言語接触にみる共通語と方言の類型的文体形成」、第5部「談話構造の地理的変種」は方言の談話、第6部「言語行動における言語・心理・社会」は言語行動の社会的背景と表現について論じる。第7部「談話論と日本語教育学」では、日本語習得上の困難を談話論の観点から指摘したり、習得日本語を日本語の一変種と捉える視点を提示したりする。なお、本書は、博士論文(東京都立大学)に若干の改訂を加え、公刊したものである。

内容は以下のようになっている。

(2006年2月20日発行 和泉書院刊 A5判横組み 564ページ 12,000円+税 ISBN 4-7576-0348-7

金水敏著 『日本語存在表現の歴史』

主に「ある(あり)」「いる(ゐる)」「おる(をり)」の意味・用法・機能などに関する史的展開を描いたものである。単に変化を追うだけではなく、待遇などの視点や地理的分布などの観点からも検討している。全体は2部に分かれる。第1部「「いる」と「ある」」では、まず、第1章「存在表現の構造と意味」で、史的変化を考える基礎として存在表現の分類を行う。第2章〜第5章で時代ごとの様相を見たのち、第6章で変化の方向性と推進力について述べる。第7章は関連語句として「ござる」を取りあげる。第2部「「いる」と「おる」」では、第8章〜第12章で、両語が上代には「非状態」対「状態」という対立関係にあったが、中古から待遇差を持つ対立となったことを主張し、「をり〜おる」の待遇性の内実およびその変化を追っている。第12章では全国共通語「おる」の起源、第13章では存在動詞の地理的分布、第14章では補助動詞用法のアスペクト形式を扱う。

内容は以下のようになっている。

(2006年2月20日発行 ひつじ書房刊 A5判縦組み 344ページ 5,000円+税 ISBN 4-89476-265-X

崎村弘文著 『琉球方言と九州方言の韻律論的研究』

日本語諸方言は、韻律論的に「語声調方言」「狭義のアクセント方言」「語声調アクセント方言」からなるという見方を採用し、そのうちの「語声調方言」である琉球・九州方言について、実地調査や従来の研究の再検討を行い、これらの方言の音調の実態を描いたものである。第1部「総論篇」で論の前提、見通しについて述べる。第2部「琉球方言篇」では琉球諸方言をいくつかの型に分類し、データを精査して、そのいずれもが語声調方言であると結論づける。第3部「九州方言篇」では薩隅諸方言と肥筑諸方言に分け、外来語などをどのような韻律で言っているかなどを参考にして、それぞれの音調体系を明らかにしていく。第4部「綜合篇」では、狭義音韻・語法の面では異なる諸方言が音調の面では類似性を持つことの背景として、東アジアの音調分布に目を向ける。なお、本書は同名の学位論文に補訂を加え出版したものである。

内容は以下のようになっている。

(2006年2月20日発行 明治書院刊 A5判横組み 488ページ 13,000円+税 ISBN 4-625-43335-5

注:著者の名前の「崎」は、Unicodeで「FA11」の字。(旁の右上が「大」ではなく「立」となる字体。)

平川南・沖森卓也・栄原永遠男・山中章編
『文字と古代日本4―神仏と文字―』
『文字と古代日本5―文字表現の獲得―』

文字が日本でどのように受け取られ定着していったかを歴史学・日本語学など多方面から探るシリーズの第4巻と第5巻である。これを以て全5巻が完結した。第4巻では、「総説 神仏と文字、文字と生活」(栄原永遠男)で概略を述べ、呪符、祝詞、墓碑、造像銘など神仏に関わる文字使用と、手紙、食器の管理、告知札などの生活場面で使われた文字の実態を描く。第5巻では、日本で漢字やその読みが受容され、次第に独自の文字表現を獲得していく様を追う。「総説 文字空間の広がりとその多様性」(沖森卓也)のあと、「文字化する試み」「表現の諸相」「文字の習得」「文字の展開」のように部を分けて、それぞれに3〜5編の論文を収めている。この中には、「漢字の受容と訓読」(沖森卓也)「漢字文化の受容と学習」(佐藤信)、「国字の発生」(笹原宏之)、「古代漢字音の受容と展開」(佐々木勇)、「万葉仮名」(沖森卓也)などが含まれている。

内容は以下のようになっている。

第4巻(2005年10月10日発行 吉川弘文館刊 A5判縦組み 336ページ 6,300円+税 ISBN 4-642-07865-7
第5巻(2006年2月20日発行 吉川弘文館刊 A5判縦組み 352ページ 6,300円+税 ISBN 4-642-07866-5

注:「禰〓田佳男」の「〓」は、Unicodeで「519D」の字。(わかんむりに「且」の字。)

小林隆著 『方言が明かす日本語の歴史』

「もっと知りたい!日本語」シリーズの新刊である。文献中心の日本語史(中央上層階級の文章語を中心とした歴史)ではなく、方言を考慮に入れた日本語史を追究することがどのような可能性を持つかということをわかりやすく描いたものである。7つの章から構成されている。「日本語史の“当たり前”」で、日本語史について知っている人でもある種の常識に囚われているのではないかという指摘を行い、「常識から抜け出す方法」で、どうすれば、これまで明らかになっていない部分に迫ることができるのかを検討する。そして「『こま』の常識」、「『くすりゆび』は書き間違い?」、「『おととい』の衝突」、「生きている『こそ』係り結び」「東北方言『さ』の源流」という各章で、方言資料などを使い、具体的にそれぞれの言葉の語誌を検討している。なお、「こま」以下の具体的な題材は『方言学的日本語史の方法』(ひつじ書房2004年)から選んだものである。

内容は以下のようになっている。

(2006年2月23日発行 岩波書店刊 B6判縦組み 232ページ 1,600円+税 ISBN 4-00-006838-5

多門靖容著 『比喩表現論』

日本語古典散文に見られる比喩表現(主に直喩)の表現史を扱ったものである。第1章「比喩の機構と目的」で比喩の種類と役割について述べる。第2章「比喩の表現史」が本書の中心である。まず、比喩史記述の問題点や先行研究について検討する。次に、古今和歌集、源氏物語など後代に影響を与えた作品の見立てなどに触れた後、直喩表現で「〜ヤウナリ、〜ゴトシ、〜ココチスなど」の形式を持つものを中心に、竹取・伊勢・落窪物語などの中古散文、保元・平治・平家物語などの中世散文、西鶴・秋成らによる近世散文における具体例を挙げ、特徴を指摘する。(著者は、この部分を直喩の資料集としても使えるのではないかと述べている。)さらに、「扇・鏡」など比喩に使われた語の分析を行う。また、逆に比喩で表わされる言葉として「髪」を取りあげ、どのような語によって喩えられているかを見る。これらの古典における比喩研究によって、近代的な比喩観からは気付かれない比喩の側面を指摘し、比喩研究の展望を行っている。付録「比喩表現研究論文抄」は日本語学分野の雑誌論文を中心に、比喩に関する論文の題名とその内容の抄録を記載している。なお、本書は学位論文(2001年に名古屋大学に提出)のうち、1章と3章を公刊したものである。

内容は以下のようになっている。

(2006年2月28日発行 風間書房刊 A5判横組み 996ページ 28,000円+税 ISBN 4-7599-1532-X

神部宏泰著 『日本語方言の表現法―中備後小野方言の世界―』

著者の故郷である小野(備後中部にある集落)という地域の方言についての生活語研究である。全体は8つの章に分かれる。第1章「あいさつ表現法」は路上での出会い、訪問、接待などの場面別に、そのような時にどう言うかの記述とその解説が記される。例えば、朝の挨拶表現の項では「早朝、路上で、土地人同士行きあったときのあいさつ表現は、次のようにあるのが一般的である。 ○オハヨー ゴザンシタ。(お早うございます。《中年男同士》)」(2ページより引用)のように書かれる。第2章「敬語表現法」は尊敬・謙譲・丁寧表現、第3章「特定文末表現法」は呼びかけ・問いかけなど、第4章「文の特定成分とその表現法」はコソアド・接続・断定など、第5章「述部叙法の諸相」はアスペクト・受身・使役・可能など、第6章「否定表現法」は否定、第7章「音声―音変化の諸相」は連音節変化について述べる。第8章「語詞の世界」は名詞・動詞・形容詞など品詞別にどのような言葉があったか、どのように使うものなのかを例示しながら説明していく。

内容は以下のようになっている。

(2006年3月1日発行 和泉書院刊 A5判横組み 416ページ 11,000円+税 ISBN 4-7576-0357-6

三保忠夫著 『数え方の日本史(歴史文化ライブラリー 210)』

歴史的な文献などにおいて助数詞がどのように用いられているかを記述し、それを通して日本人の数え方の文化に触れようとしたものである。「数え方の伝来」では、8世紀までの助数詞の様相が述べられる。中国からきた助数詞や日本固有の助数詞の実例を木簡・正倉院文書・各種古典籍から挙げ、助数詞の伝来と、日本語への影響などについて考える。「数えることの歴史」では、『下学集』などの国語辞書、キリシタン資料の文典類、書札礼(各種文書の様式や作法を説くもの)、故実書(儀式などの先例・規則を述べたもの)により、中世における助数詞の様相を見ていく。次に近世について扱うが、「衣服」「刀剣類」「鷹狩り」に関連する数え方にしぼって、何をどのような助数詞で数えたかを詳述する。「注意される数え方」では、イカを一盃、ウサギを一羽あるいは一耳と数えることについて、文献を検討しながら考察する。「助数詞の現在と将来」では、助数詞の持つ意義や価値について述べる。

内容は以下のようになっている。

(2006年3月1日発行 吉川弘文館刊 B6判縦組み 240ページ 1,700円+税 ISBN 4-642-05610-6

国立国語研究所著 『言語行動における「配慮」の諸相』

面接調査・アンケート調査に基づいた研究報告集である。(国立国語研究所報告123である。)日常生活において話したりするときにどのような配慮(気配り)をしているかを、言語形式の選択やそれを支える言語意識の分析により、考察しようとしている。第1章で、敬語・待遇表現・敬意表現に見られる配慮の諸相と配慮表現を生み出す要素について述べて、総説としている。第2章で調査の概要を述べる。第3章以下は、個別の問題を扱った論文編になっている。依頼場面での働きかけ方における世代差・地域差を扱った論(熊谷智子・篠崎晃一)、依頼・勧めに対する受諾や断りにおいてどのような言葉が使われるかを分析し、配慮の様相を考察した論(尾崎喜光)、「〜とか」「〜みたいな」「〜って感じ」などの新ぼかし表現を扱った論(陣内正敬)、高校生の敬語についての規範意識を扱った論(吉岡泰夫)を収める。

内容は以下のようになっている。

(2006年3月15日発行 くろしお出版刊 A5判横組み 196ページ 2,500円+税 ISBN 4-87424-338-X

飛田良文編 『国語論究12 江戸語研究―式亭三馬と十返舎一九―』

江戸文化を代表する式亭三馬と十返舎一九に焦点を当て、その作品をジャンルごとに分けて、そこに見られる江戸語の性質を考察した論文集である。全体は3部に分かれる。第1部では、「江戸語研究の視点」(飛田良文)、「江戸語研究の歴史」(小松寿雄)で江戸語とその研究について概説を述べる。第2部では、式亭三馬を扱っており、その生活と言語資料(本田康雄)、言語観(佐藤武義)、黄表紙(鶴橋俊宏)、洒落本(園田博文)、滑稽本(土屋信一)、合巻(小野正弘)、読本(白石良夫)に分けてその特徴について述べる。第3部では、十返舎一九を扱っおり、その生活と作品(粕谷宏紀)、言語観・方言観(下野雅昭)、言葉の多様性(小池正胤)、黄表紙(矢野準)、笑話本(米谷隆史)、滑稽本(彦坂佳宣)、読本(半田真由美)、合巻(神戸和昭)、人情本の江戸語(広瀬満希子)について述べる。

内容は以下のようになっている。

(2006年3月15日発行 明治書院刊 A5判縦組み 586ページ 18,000円+税 ISBN 4-625-43334-7

真田信治編 『社会言語学の展望』

研究の流れを展望すること、海外と日本の社会言語学の研究を融合させることの2点を編集の方針とした「社会言語学の教科書」である。序章で、この分野の基本的な考え、本書の構成などについて述べる。以下は8章に分かれており、第1章「言語変種」(属性や場面とことばについて)、第2章「言語行動」(発話行為などの言語戦略、ポライトネスなどことばの切換えについて)、第3章「言語生活」(生活、民俗とことばについて)、第4章「言語接触」(標準語化、ネオ方言、多言語との接触)、第5章「言語変化」(音、語彙、文法の変化)、第6章「言語意識」(方言イメージなど、アイデンティティとの関わりについて)、第7章「言語習得」(幼児語、中間言語などについて)、第8章「言語計画」(国語政策、日本語政策)という章立てになっている。各項目とも、研究対象、問題のありか、研究の展開、研究の展望、演習問題という構成によって、これまでの研究の成果が概説されている。

内容は以下のようになっている。

(2006年3月18日発行 くろしお出版刊 A5判横組み 264ページ 2,200円+税 ISBN 4-87424-345-2

中園篤典著 『発話行為的引用論の試み―引用されたダイクシスの考察―』

「AはBに[XはY]と言った。」というような引用構文の分析を通して、発話行為論に新しい観点をもたらそうとしたものである。具体的には、引用構文におけるダイクシス(主に人称)の調整に焦点を当て、伝達者の立場からの調整ができない現象を指摘する。そして、その理由を元の文の発話行為類型(依頼、主張、質問、感嘆など)の面から説明する。さらにその類型を、発話行為の効果が持続的なものと一時的なものにわけ、この区別がいろいろな現象を説明するための重要な区別であるとする。全体は6章に分かれている。前半の3章では、従来の引用論・発話行為論のまとめや、この研究の概要などを述べる。後半の3章では、具体的分析を展開する。そして、オースチンの研究(発話内行為と発話媒介行為の区別)とこの研究の関連性についての考察、日英語の違いに関する考察を行う。

内容は以下のようになっている。

(2006年3月20日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 272ページ 5,200円+税 ISBN 4-89476-276-5

国語語彙史研究会編 『国語語彙史の研究25』

国語語彙史研究会の論文集である。特集「古代語」のテーマ論文は、机の「エ」の歴史的仮名遣いについて論じた「ツクエ(机)の語源と歴史的仮名遣い」(山口佳紀)のほか、「古代時間語彙の分類」(吉野政治)、「日本書紀の「訛」注記について」(佐野宏)、「歌語「たまゆら」の光と影」(山内洋一郎)、「平安時代に於ける「しきり(頻)」の意味用法について」(山本真吾)、「平安鎌倉時代和文における「心いられ」の様相」(土居裕美子)、「名詞被覆形・露出形の型の通時的相違」(蜂矢真弓)の7本である。特集以外の論文は、「はやて」という語の表記と語義の関係を扱う「「暴風」から「疾風」へ」(郡千寿子)のほか、「イカメイの意味」(山本佐和子)、「重複形容詞の周辺」(蜂矢真郷)、「「〜ニクシ/ニクイ」の意味・用法の時代的変化」(近藤明)、「慶長十五年版倭玉篇と古活字版との関係に就いて」(鈴木功眞)、「『英語節用集』をめぐって」(坂本浩一)の6本である。

内容は以下のようになっている。

(2006年3月31日発行 和泉書院刊 A5判縦組み 256ページ 8,000円+税 ISBN 4-7576-0355-X

松本泰丈著 『連語論と統語論』

連語論および統語論に関わる既発表論文をまとめて一書としたものである。連語に関する論文には、「連語論のかんがえかた」のように連語論に関する紹介的なもののほか、「に格の名詞と形容詞とのくみあわせ―連語の記述とその周辺―」など記述的な連語論の実践が収められている。他には、琉球方言の研究のうち、主格あるいは能格といった文法的枠組みに関する類型論的な論文(「琉球方言の主格表現の問題点―岩倉市郎『喜界島方言集』の価値―」や「〈能格〉現象と日本語―琉球方言のばあい―」など)が収録されている。また、三上章の能動詞、三尾砂の現象文などに関わる論文や、「ヴォイスをどうとらえるか」などのように統語論の基礎的項目に関して整理をしたものが含まれる。最後に、自らの論に関連がある著書についての書評・紹介を収載している。

内容は以下のようになっている。

(2006年3月31日発行 至文堂刊 A5判横組み 320ページ 4,286円+税 ISBN 4-7843-0262-X

国立国語研究所編 『方言文法全国地図6』

ある文法項目に関する方言での形式を全国地図の形で示す言語地図集である。この第6集でこのシリーズの全巻が完成したことになる。この第6集では、主に待遇表現を扱った80枚の図を収めている。例えば、「近所の知り合いの人にむかって、ややていねいに『ひと月に何通手紙を書きますか』と聞くとき、『書きますか』のところをどのように言いますか。」という質問文を出し、さらに、「この土地の目上の人にむかって、ひじょうにていねいに言うときはどうですか。」という質問をして、その待遇表現の差を明らかにし、それを場面ごと・形式ごとに分けて視覚的に表している。扱われた語は、「行く・来る・いる・知る」などの動詞、動詞以外では「寒い・本だ」などの語、人称、間投表現、あいさつ表現などとなっている。文末は質問のほか、命令、断定、申し出、依頼などの場合があり、それらのうち、適切なものを選んで地図化している。担当者は、国立国語研究所の大西拓一郎、三井はるみ、吉田雅子、白沢宏枝を中心として、ほかに、井上文子、篠崎晃一、亀田裕見、小西いずみ、作成検討委員として日高水穂、小林隆、佐藤亮一、沢木幹栄、内間直仁である。

(2006年3月発行 国立印刷局刊 B4異型判 地図80枚解説778ページ 54,000円+税 ISBN 4-17-391606-X