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新刊紹介 (『日本語の研究』第5巻4号(通巻239号)掲載分)

「新刊書目」の一部について,簡単な紹介をしています。なお,論文集等については,論文リストを添えるなど,雑誌『日本語の研究』掲載分と一部異なる点があります。(価格は本体価格)

染谷裕子著『お伽草子の国語学研究』

本書は,著者が平成16年度に日本大学に提出した博士論文に改稿を施したものである。序章「お伽草子と国語学研究」では,「お伽草子」の定義に出発し,明治末年以降に国語学的見地から行われたお伽草子研究を詳細に紹介し,論評を加えている。第1章「国語資料として見たお伽草子」ではお伽草子に現れる語形に注目し,その変遷によりお伽草子を言語教育上に位置付け,また「侍」と「候」,一人称「わらは」の使用状況を提示し用法を考察している。第2章,第3章「お伽草子の共通項と分類(その一・二)」では,お伽草子に共通して使用された「いたはし」や冒頭語「むかし」「それ」「そもそも」など,また美人描写の語である「光る」「輝く」「玉」などについて取り上げ,お伽草子の類型化を試みている。第4章「国語学の視点から見た画中詞」では絵巻に付された画中詞の文末表現などからその口語性や読者層に言及している。

内容は以下のようになっている。

(2008年11月28日発行 清文堂出版刊 A5判縦組み 544頁 14,000円+税 ISBN 978-4-7924-1409-2

田村澄香著『現代日本語における名詞文の時間表現』

名詞文の時間表現を体系的に整理したものである。著者は日本語教育の現場で「昨日は月曜日です」と言ったとき,留学生から「昨日は月曜日でした」が正しいのではないかという質問を受け,それをきっかけに研究を始めた。本書では「XはYだ」と「XはYだった」の形の違いがどのような意味と結びついているのか,そしてそれが名詞文のタイプとどのような関連性を持つか,さらに動詞を中心とした時制の説明で抜け落ちている点(名詞文の場合に問題になる点)がどのような点なのかを明らかにしている。全体は序論と結論を除いた部分が2部(4章)構成になっている。第1部「名詞文の時間表現の体系」では,特定の時間に縛られていない名詞文と,特定の時間に位置づけられている名詞文を分け,それぞれについて考察する。第2部「時制形式の選択に関する考察」では,「Yだ」と「Yだった」が時の対立を表さず,ほぼ同じ意味で交替可能な名詞文を取り上げ,それを可能にしているメカニズムを追究する。なお,本書は2006年に兵庫教育大学から学位を授与された博士論文に加筆修正を加えて刊行されたものである。

内容は以下のようになっている。

(2008年12月22日発行 溪水社刊 A5判横組み 224ページ 3,500円+税 ISBN 978-4-86327-045-9

岡墻裕剛編著『B.H.チェンバレン『文字のしるべ』影印・研究 A Practical Introduction to the Study of Japanese Writing by Basil Hall Chamberlain』

本書は,日本語文字表記の入門書である,チェンバレン著『文字のしるべ』についての研究書である。影印編(1899年初版の全文複製),研究編から成り,研究編は解説編と資料編に分かれる。解説編の前半では,チェンバレン自身や『文字のしるべ』に関する先行研究の紹介や,資料構成や版による異同についての基礎研究を行っており,ほかにロシア版『文字のしるべ』の調査報告を載せている。後半では,現存する『文字のしるべ』への書き込みを各本ごとに詳細に観察し,過去の外国人による日本語学習の実態の一端を明らかにするとともに,「漢字集合」という観点から,日本の公的機関によって作成された「常用漢字表」などと『文字のしるべ』の比較分析を試みている。なお,解説編は,著者が平成19年度に北海道大学に提出した博士論文に加筆,修正を行ったものである。資料編は,本書内では資料の解説と画像の例示のみを行い,全体の資料は電子データとしてWEB上で配布している。

内容は以下のようになっている。

(2008年12月26日発行 勉誠出版刊 B5判横組み 664頁 28,000円+税 ISBN 978-4-585-03219-9

大坊郁夫・永瀬治郎編『講座社会言語科学 第3巻―関係とコミュニケーション―』

本書は,言語・コミュニケーションについて,人間・文化・社会との関係において取り上げ,そこに存在する課題を解明する講座の最終刊行巻である。これまで第1巻「異文化とコミュニケーション」(2005年10月),第2巻「メディア」(2005年5月),第4巻「教育・学習」(2008年8月),第5巻「社会・行動システム」(2005年3月),第6巻「方法」(2006年8月)が出版されており,本書は全6巻の第3巻にあたる。狭義の言語,非言語を含むコミュニケーションについて,社会言語学,心理学,コミュニケーション学の手法に基づく研究を扱う。具体的には,第1部「伝達の科学」では対人関係の維持と展開する対人コミュニケーション,第2部「関係のコミュニケーション」ではポライトネスと欺瞞を主題とした研究,第3部「関係のダイナミズム」では同調傾向,発言権の構造,対人関係の進展とコミュニケーションの関係,第4部「コミュニケーションの広がり」では集団とコミュニケーション,文化を映すメッセージについて,実験や観察の結果をふまえて実証的に述べる。

内容は以下のようになっている。

(2009年1月29日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 192頁 3,200円+税 ISBN 978-4-89476-247-3

佐々木勇著『平安鎌倉時代における日本漢音の研究』

本書は平安・鎌倉時代における訓点資料・古辞書類などを資料として,そこに現れる日本漢音の実態を記述・分析したものである。知識音としての体系性を有する日本漢音が,使用目的・場面などにより,どのように異なった表れ方をしているかという,「位相差」に力点を置いた考察が行われている。本書は研究篇と資料篇との2冊構成である。研究篇第1部「音形(声母・韻母)論」では,字音直読資料(『蒙求』)・漢籍訓読資料(『史記』平安後期点,『群書治要』鎌倉中期点)などについて,それぞれの資料群における漢音形の実態を論述している。第2部は「声調論」であり,先述した資料群の漢音声調の分析を行う。第3部は「位相差各論」とし,止摂合口字の音形や濁声点の加点率などが資料の性質により異なったあり方を示している様を述べる。資料篇は,10種類の『蒙求』訓点本,金沢文庫本『群書治要』経部鎌倉中期点,『大慈恩寺三蔵法師伝』鎌倉初期点,久遠寺蔵『本朝文粋』鎌倉中期点の分紐分韻表である。

内容は以下のようになっている。

【研究篇】(2009年1月30日発行 汲古書院刊 A5判縦組み 1068頁 30,000円+税 ISBN 978-4-7629-3567-1
【資料篇】(2009年1月30日発行 汲古書院刊 A5判縦組み 690頁 15,000円+税 ISBN 978-4-7629-3568-8

小林千草・千草子著『ことばから迫る狂言論―理論と鑑賞の新視点―』

本書の構成は大きく2部に分かれる。第1部は音韻や言語社会学などに関する全9章の小論で構成される。第1章「狂言のオノマトペと狂言台本」を導入として,狂言資料(狂言台本)を国語史的に利用するための事例を示す。9章のうち,書き下ろしである第2章を含めた前半部分では,「狂言台本のことばは"何を物語るのか"」「大蔵虎明本狂言の復元の意義と実践からわかること」について扱っている。後半部分では,「狂言と中世資料を有機的に解釈する試み」「狂言会話の社会言語学的分析」などが取り上げられる。第2部は,狂言鑑賞に対する視点として4つを掲げている。第2部の4つの章では,「狂言こだわり入門」「狂言を楽しむ−狂言万華鏡−」「狂言に足をはこんだ観客へのいざない」など,具体的な曲目とあらすじが多数挙げられ,狂言の段階的な楽しみ方を紹介している。また,付録として「能舞台図と基礎的参考文献」がある。

内容は以下のようになっている。

(2009年1月31日発行 武蔵野書院刊 A5判縦組み 320頁 2381円+税 ISBN 978-4-8386-0421-0

由本陽子・岸本秀樹編『語彙の意味と文法』

影山太郎氏の還暦を記念して編まれた論文集である。「語彙」に関連する理論的な研究を中心テーマとして企画されている。全体は2部に分かれる。第1部は「語彙の意味とその周辺」と題されており,上田功,窪薗晴夫,影山太郎,Hideki Kishimoto,小林英樹,杉岡洋子,竹内孔一,松岡知津子・玉岡賀津雄・酒井弘,竝木崇康,板東美智子,松本曜,丸田忠雄,由本陽子による計13編を載せる。第2部は「語彙と文法現象」と題され,Hiroyuki Ura,小野尚之,金水敏,小泉政利,Mamoru Saito and Kensuke Takita,酒井弘・張超・吉村めぐみ,佐野まさき,沈力,塚本秀樹,辻村成津子,長谷川信子,三原健一,宮川繁,鷲尾龍一による計14編を収める。巻頭に「還暦を迎えるにあたって」(影山太郎),「影山太郎君の還暦を祝して」(柴谷方良),巻末に「影山太郎教授 略歴と業績」を付す。

内容は以下のようになっている。

(2009年2月13日発行 くろしお出版刊 A5判横組み 540ページ 5,000円+税 ISBN 978-4-87424-436-4

鈴木泰著『古代日本語時間表現の形態論的研究』

本書は,前著『改訂版 古代日本語動詞のテンス・アスペクト―源氏物語の分析―』(ひつじ書房,1996)を基盤とし,動詞の無標形の意味の問題やメノマエ性などの問題から,古代日本語の時間の表現の体系について考察している。既発表論文に加筆・修正を施し,第2部および第3部の6・7章を書き下ろしている。第1部は時間表現に関わるカテゴリーを概説し,現代日本語の実態を整理する。第2部は時間表現の文法的研究における形態論的な立場の重要性を示す。本書と古代日本語のテンス・アスペクトをめぐる諸論考との関係を論じた後,明治時代以降の文語文典の中で展開された時制論について考察がなされる。第3部では,平安時代の仮名散文作品の会話文を資料とし,古代日本語の時間表現の体系を現代日本語と対比しつつ,ツ形・ヌ形といった動詞の形態がテンス・アスペクトなどのカテゴリーを各々どのように形作っているかを論じる。なお本書は,ひつじ研究叢書(言語編)第67巻である。

内容は以下のようになっている。

(2009年2月14日発行 ひつじ書房刊 A5判縦組み 520頁 6400円+税 ISBN 978-4-89476-400-2

沼田善子著『現代日本語とりたて詞の研究』

とりたて詞の統語的・意味的特徴を指摘し,その体系性を論じたものである。また,個々のとりたて詞について記述したものである。著者は1980年代から「とりたて」についての研究を積み重ねてきたが,その研究に対する(執筆時点における)再点検,総決算の意味合いを持つ著書である。全体は序章,終章を除いて2部の構成になっている。第1部「文法範疇としてのとりたて詞」では,先行研究に触れ,とりたて詞の特徴について述べる。そして同一語形ではあるが,とりたて詞ではないもの(例えば形式副詞,形式名詞,格助詞等々)を挙げ,とりたて詞とそれらの相違点と連続性について考察する。第2部「とりたて詞各論」では,「も」「まで」「さえ」「すら」などについて個別に扱い,各論を展開する。さまざまな立場からなされた最近20年間のとりたて詞研究についての検討や,その研究に対するコメントが書かれているところがあり,また,自説の変更などが記されているところもある。最後にとりたて詞の意味体系についてまとめている。なお,本書は2006年に筑波大学に出された博士論文をもとに,加筆・訂正を行ったものである。

内容は以下のようになっている。

(2009年2月14日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 280ページ 6,200円+税 ISBN 978-4-89476-401-9

国立国語研究所編『国立国語研究所報告127 教育基本語彙の基本的研究―増補改訂版―』

国立国語研究所が昭和20年代から取り組んできた研究の柱の一つである言語教育研究の報告書である。日本人児童・生徒への指導の観点から,教育上基本的とみなされた語彙を網羅し,教育基本語彙を確定した既存の7種の教育基本語彙をデータベース化した「国立国語研究所報告117」(2001年)の増補改訂版にあたる。本書は,近年の日本語教育の社会的必要性を受けて,外国人のための日本語教育において語彙指導の基本資料を作る目的で作成した6種類のデータベースを,CD-ROMにより加えて刊行された。巻末に増補改訂版解説,付属CD-ROM内容一覧を付す。付属CD-ROMには,「国立国語研究所報告117」および本書に収録されたデータに語彙配当の情報を付与した教育基本語彙データベース「教育_旧.csv」「教育_新.csv」,日本語教育基本語彙データベースである「6種対照.csv」,増補改訂版解説に相当する「解説.pdf」を収録する。

内容は以下のとおりである。

(2009年2月20日発行 明治書院刊 B5判横組み 571頁 15,000円+税 ISBN 978-4-625-43424-2

真田信治著『越境した日本語―話者の「語り」から―』

本書は,アジア・太平洋の各地域で,戦前・戦中に日本語を習得し,現在も日本語能力を持つ人々を対象に行ったフィールドワークの調査データを用い,(1)日本語習得環境(2)日本語の社会的役割(3)日本語の維持状況について分析を試みたものである。(1)は日本語教育の状況,教室場面以外での日本語習得環境,(2)は当時の日本語がどのような社会的な役割を担っていたのか,(3)は現在の各地の日本語に見られる音声・文法・語彙レベルの特徴,および日本語との共通点・相違点,がそれぞれ分析の対象となる。本書は5部で構成される。本書で取り上げられた地域は,台湾,ミクロネシア(南洋群島),韓国,サハリン(樺太),中国東北部である。その中でも,台湾については,言語生活史(1部)と日本語クレオール(5部)が紹介されている。これら5つの地域の話者の「語り」に見られる日本語の特徴と言語生活の様子が紹介されている。

内容は以下のようになっている。

(2009年2月24日発行 和泉書院刊 B6判横組み 136頁 2,800円+税 ISBN 978-4-7576-0501-5

前田直子著『日本語の複文―条件文と原因・理由文の記述的研究―』

日本語の複文のうち,従属節が条件・理由などを表すものを取り上げ,その意味・機能をまとめたものである。体系性への目配りと個別形式の記述を兼ね備えた総合的な研究となっている。全体は3部に分かれる。第1部「現代日本語の複文」では,複文の分類に関する従来の説を概観し,自説の分類を提示する。次に,そのうちの副詞節に属する論理文(条件,原因・理由,逆条件,逆原因)の相互関係,個別の意味用法,類義形式の相違点などを扱うと述べる。また接続辞の整理を行う。第2部「論理文」では,論理文の体系性について考察する。そして,レアリティーという概念を導入したうえで,論理文の分類と個別形式の用法や使い分け(例えば「ば・と・たら・なら」の使い分け,「から」と「ので」,「のに」と「ても」など)について述べる。代表的な形式のほか,条件では「ては」「場合」,理由では「だけに」「のだから」等,逆条件などでは「たって」「としても」なども扱われている。第3部「結論」には全体のまとめと今後の課題が記されている。なお,本書は1997年に大阪大学から学位を授与された博士論文の一部をもとに,その後の研究により加筆・修正をしたものである。

内容は以下のようになっている。

(2009年2月28日発行 くろしお出版刊 A5判横組み 288ページ 3,200円+税 ISBN 978-4-87424-437-1

林青樺著『現代日本語におけるヴォイスの諸相―事象のあり方との関わりから―』

受身文,自動詞・他動詞の文,可能の文などの諸構文の特性を新たな観点から考えていこうとする試みである。第1部「序論」で先行研究と研究の目的などを述べる。第2部「「能動−受動」の対立・非対立をめぐって」では,対応する能動文がない受身文を分析する。ヴォイス研究は能動文・受動文の対立を中心に展開されてきたのだが,その自明視された前提を疑う。第3部「事象成立のあり方から見たヴォイス」では,事象の成立・不成立(未成立あるいは未生起)などの分類を行い,その視点から受身,実現可能文の特質を考える。第4部「事象の生起に関わる諸要因から見た自動性・他動性とヴォイス」では,自動性・他動性からヴォイスの諸構文を分析する。(他動性が少なくなったものが自動詞という規定をするのではなく,自動性を持つものが自動詞という少数派の見方を採用している点にも特色がある。)第5部「本書の意義と今後の展望」では,まとめを行う。なお,本書は2006年に東北大学から学位を授与された博士論文に加筆訂正を施したものである。

内容は以下のようになっている。

(2009年2月28日発行 くろしお出版刊 A5判横組み 256ページ 3,800円+税 ISBN 978-4-87424-438-8

国立国語研究所「病院の言葉」委員会編著『病院の言葉を分かりやすく―工夫の提案―』

本書は,医師,薬剤師,看護師などの医療関係の専門家に対して,医療の専門家でない患者やその家族を相手に,病気や治療や薬の説明をするときに用いる言葉を分かりやすくする工夫を提案するものである。患者や家族が分かりにくいと感じている言葉,誤解や間違いをしがちな言葉はどのようなものか。それに対して,医療関係の専門家はどのような意識を持っているのか。専門家・非専門家双方を対象に行った意識調査に基づき,医師・看護師・薬剤師・日本語研究者で構成される「病院の言葉」委員会で議論された提案が収録されている。本書は,「分かりやすく伝える工夫」をするにあたって,患者に言葉が伝わらない原因を踏まえた上で,三つの類型に分けて行う立場を採っている。(1)日常語で言い換える(2)明確に説明する(3)重要で新しい概念の普及を図る,である。本書では,それぞれの類型に該当する157の語例が紹介されている。紹介には,言葉遣いの工夫として簡潔なものから詳細なものまで三種類用意し,医療現場の状況によって,説明例を選択できるようになっている。

内容は以下のようになっている。

(2009年3月15日発行 勁草書房刊 A5判横組み 262頁 2,000円+税 ISBN 978-4-326-70062-2

山梨正明著『認知構文論―文法のゲシュタルト性―』

ゲシュタルト的文法観の枠組みに基づく認知構文論の観点から,統語レベル,意味レベルから語用論レベルにわたる言語現象の具体的な分析と理論的な考察を行ったものである。具体的な事実を重視する科学的記述文法や具体的な言語資料の分析に力点を置く構造言語学の研究態度を重んじ,トップダウン的に抽象的理論を仮定する最近の形式文法のアプローチではなく,実際の具体的な言語使用の文脈に基づく用法基盤モデルのボトムアップ的なアプローチを重視しつつ,構文を中心とする言語現象について実証的に分析する。第1章では認知言語学のパラダイムの考え方について考察し,第2章ではゲシュタルト的文法観をゲシュタルトと認知の主観性ほかとの関連について考察したうえで,第3章では認知言語学の文法モデルの具体的な規定方法を明らかにする。後半の第4〜6章では,日常言語の多様な構文現象の発現プロセスと,構文の創造的拡張のメカニズムを説く。

内容は以下のようになっている。

(2009年3月20日発行 大修館書店刊 A5判横組み 309頁 2,800円+税 ISBN 978-4-469-21324-9

国語語彙史研究会編『国語語彙史の研究 28』

本書は国語語彙史研究会の28冊目の論文集である。「特集―用言」と題した前半部には,平家物語・歌論書・抄物・節用集に見られる形容動詞「たくさんなり」の用例を整理し,その起源を検討する山内洋一郎論文,上代語の複合動詞について,前項と後項の意味的関係の固定化が中古以降に比べ未成熟であることを論じた山王丸有紀論文,古代語「始む」が例示用法を確立していく過程を概観した高山善行論文など7編をおさめる。つづいて,係り結び・動詞φ形といった文末表現の会話文と地の文の間に見られる相違点を,『源氏物語』若菜上巻を調査対象として論じた西田隆政論文,万葉集表記関連語としての「義訓」「義読」という用語が近世以前どのような概念をさしていたのかを論じた奥田俊博論文など特集以外の論文8編を収録し,本書全体で15編を収める。

収録論文は以下のとおりである。

(2009年3月31日発行 和泉書院刊 A5判縦組み 280頁 9,000円+税 ISBN 978-4-7576-0500-8