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新刊紹介 (『日本語の研究』第6巻4号(通巻243号)掲載分)

「新刊書目」の一部について,簡単な紹介をしています。なお,論文集等については,論文リストを添えるなど,雑誌『日本語の研究』掲載分と一部異なる点があります。(価格は本体価格)

任利著『「女ことば」は女が使うのかしら−ことばにみる性差の諸相』

本書は,いわゆる「女性語」(あるいは,「女ことば」)いわゆる「男性語」(あるいは「男ことば」)といった二項対立的な視点を相対化させ,「女性性・男性性」という理論的な枠組みを日本語の歴史的研究に導入し,言語使用に見られる女性と男性の言葉遣いの違い・特徴を記述し,その原因をさぐるものである。本書は7章で構成される。まず日本語の歴史とことばの性差,社会言語学と現代日本語の性差を踏まえ,本書の中心的な枠組みである「女性性・男性性」が示される。性差が出現する構文上の特徴について記述し,「女性性・男性性」のステレオタイプ形成について述べたあと,「社会百面相」に出現する文末表現形式について考察がなされる。「女性性・男性性」理論のケーススタディとして,「かしら」と「かな」の意味機能を通時的に考察する。最後に今後の性差研究の新展開についての筆者の展望が述べられる。

内容は以下のようになっている。

(2009年12月1日発行 ひつじ書房刊 A5判縦組み 228頁 2,800円+税 ISBN 978-4-89476-475-0

森川正博著『疑問文と「ダ」 ―統語・音・意味と談話の関係を見据えて―』

いわゆる助動詞「ダ」と(疑問などの)助詞「カ」を対象とし,それぞれの機能・構造を探るとともに,両者が絡む現象に説明を与えようとしたものである。第1章「序論」では,問題のありかを示し,「ダ」と「カ」には従来の説以外の機能があると説く。そしてそれは文法的視点だけでなく,談話的視点が要請されるものだと説明する。第2章「『ダ』」では主文と補文の場合に分けて「ダ」の統語的・意味的分析を試みる。(統語的な分析は生成文法的なアプローチによる。)第3章「『カ』」では,「カ」の役割を見るためにイントネーションで疑問を表す文と「カ」を使って疑問を表す文の違いなどを考察し,次に主文と補文の場合に分けて分析を進め,音韻・意味・統語・談話などの観点から総合的に「カ」の働きを探る。第4章「『ダ』と『カ』」では,「あの人は誰ダカ」は非文法的であるが「誰ダカわからない」は文法的であるというような現象を取り上げ,前の章での分析を使っていろいろな現象の適格性・不適格性が説明できることを示す。

内容は以下のようになっている。

(2009年12月25日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 206頁 6,000円+税 ISBN 978-4-89476-484-2

小松光三著『日本語文法―言葉は川の流れのように―基礎編』

前著『日本表現文法論』(新典社1996年)で示された自身の文法学説をもとに,それを講義形式で平明に解説したものである。インターネットの「日本語表現文法研究所」サイトで2004年から発表してきた研究に基づいている。全体は18回に分かれる。第1回「はじめに」では表現文法と言っても作文や話し方などのための文法ではなく,表現を基底とする文法という意味であると述べ,第2回「文法研究の目的」で(表現文法とは)文法の実態・本質・体系を究めるものであると言う。第3回「日本語表現文法の見方」以降,第18回「日本語文法(日本語表現文法)の原理」に至るまでの回で,線状性を重視した表現の展開や「場」の設定を重視した学説の解説を進める。なお,本書は「基礎編」と題されており,それに続く「応用編」が予定されている。そこではより精密で具体的な文法的諸事実,諸現象が扱われるとのことである。

内容は以下のようになっている。

(2010年1月20日発行 新典社刊 A5判横組み 256頁 7,500円+税 ISBN 978-4-7879-5508-1

朱春躍著『中国語・日本語音声の実験的研究』

本書は中国語と日本語の音声に関わる6つの研究テーマが取り上げられる。第1章では,中国語の有気・無気破裂子音と日本語の有声・無声子音の相違点について述べている。第2章では,第1章で問題となった中国語無気音の有声化が先行母音の音調パターンとその音質に関連があり,中国語話者に普遍的な現象であることを述べている。第3章では,中国語のan/angと日本語の/aN/について,MRI動画撮像による音声生成の側面から考察を加え,中国語ではan/angの中の母音の違いが重要だと述べている。第4章では,第3章と同じMRI動画撮像法により,中国語の「o」と「e」が調音の特徴から見てともに二重母音であることについて述べている。第5章では,ある調音パターンが特定の意味や感情を表すことがあるのかどうか,文音調が声調の形を完全に崩すことがあるのか否かを検討し,文音調と語彙固有の声調との関係に「並立型」「融合型」「文音調優先型」などがあることを述べている。第6章では中国語のムード助詞「a」の韻律と意味・機能について述べている。本書は2006年に神戸大学に提出した博士論文に加筆修正を加えたものである。

内容は以下のようになっている。

(2010年1月20日発行 くろしお出版刊 A5横組み 242頁 4200円+税 ISBN 978-4-87424-466-1

川口良・角田史幸著『「国語」という呪縛―国語から日本語へ、そして○○語へ―』

歴史や文化について興味のある人に向けいろいろなテーマを平明に語る歴史文化ライブラリーの1冊であり,同著者による『日本語は誰のものか』(吉川弘文館2005年)の続編である。多くの人が抱きがちな「国語」「日本語」についての思い込みを指摘し,「日本語」というのが一つの固定した統一体であるという概念から解放され,個人が使っているいろいろな言葉の集積が「日本語のようなもの」を作り出しているのだという視点を持つことが重要と述べている。まず「国語」という概念の検討を国家公用語,民族語,標準語などの観点から見ていき,「国語」よりも「日本語」という捉え方が望ましいと説く。次に「日本語」と名称変更すればそれでいいのかと問い直し,「日本語」としたときの問題点(過去における外地・占領地などでの強圧的「日本語教育」の問題,日本精神・日本文化の概念がまとわりついてくること)を挙げ,一つの固定した「日本語」があるわけではないのだという考えに進む構成になっている。

内容は以下のようになっている。

(2010年2月1日発行 吉川弘文館刊 B6判縦組み 224頁 1,700円+税 ISBN 978-4-642-05690-8

何志明著『現代日本語における複合動詞の組み合わせ―日本語教育の観点から―』

複合動詞のうち,語彙的複合動詞を対象として,その特徴と成立条件について研究したものである。具体例を挙げると「(時計を)叩き壊す」は言えるが「落とし壊す」とは言えない。そこで適切な複合動詞はどのような条件を満たしているかということを論究している。第1章「序論」に続き,第2章「先行研究と研究方法」では,複合動詞成立条件に関わる先行研究である「他動性調和の法則」(影山太郎),「主語一致の法則」(松本曜)を紹介したあと,これらの条件だけでは説明できない例を指摘し,「一義的経路の制約」(Goldberg)を援用してこの問題を検討すると述べる。第3章〜第7章は本論であり,複合動詞の前項と後項の関係を「様態・付帯状況」「手段」「原因」「並列関係」「補文関係」にグループ分けし,それぞれの特徴と成立条件について考察し,「一義的経路の制約」が適用できることを実証している。第8章ではまとめを,第9章では扱わなかったタイプの複合動詞について述べている。なお,本書は2003年筑波大学に提出された博士論文に加筆修正を加えたものである。

内容は以下のようになっている。

(2010年2月15日発行 笠間書院刊 A5判横組み 242頁 3,000円+税 ISBN 978-4-305-70488-7

岡?ア友子著『日本語指示詞の歴史的研究』

指示副詞(現代語の「コウ」「ソウ」「アア」,古代語の「カク」「サ」)を中心に,その意味・用法等の歴史的変化を論じたものである。従来の研究で多くの成果が出ているのは現代語の指示代名詞であって,「コソア」の違いも主にそれを基に論じられてきたが,それに比べ指示副詞はあまり扱われて来なかった。品詞の違いがあれば何を指すのかが違い,用法もいろいろ違ってくるはずである。語形を取ってみても指示代名詞は昔から「コソア(カ)」体系であったが,指示副詞は「カク」「サ」体系から「コソア」体系に変化しており,それらの変化の実態はどうなっているかなど未解決の問題も多い。そのような問題に切り込んでいったのが本書の研究である。語形のほかには,指示副詞のうち主に副詞相当語句用法を対象にして,その下位用法別に歴史的変化の様相を描いていく。また,指示するとはどういうことかに関する考察,今後の指示詞研究の観点についての考察などもなされている。なお,本書は2003年大阪大学に提出された博士論文を基に大幅な加筆修正がされたものである。

内容は以下のようになっている。

(2010年2月15日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 332頁 6,600円+税 ISBN 978-4-89476-456-9

山田昌裕著『格助詞「ガ」の通時的研究』

本書は,古代語から現代語にかけての格助詞「ガ」の用法・機能の変化に関して,特に主語表示を中心としてまとめたものであり,日本語における主語の有無を明らかにするための基盤的研究として位置付けられるものである。主語表示「ガ」の発達段階としての第一期発達期には,係助詞との関わりにおける「ガ」の発達が,第二期拡大期には,無助詞主語や「ノ」との関わりにおける「ガ」の拡大が見られ,主語表示システムの変化に伴う「ガ」の拡大が,格助詞「ガ」の中心的機能を連体表示から主格表示へと変えたことを指摘している。また,主語表示「ガ」の拡大の背景としては,方言資料などから,異種方言話者間のコミュニケーションの円滑化も挙げており,「主語表示分析的形式への変化,格的論理の明示化,システムの単純化」などが主語表示「ガ」の発達の要因であったと総括している。

内容は以下のようになっている。

(2010年2月15日発行 ひつじ書房刊 A5判縦組み 340頁 6,800円+税 ISBN 978-4-89476-455-2

大島資生著 『日本語連体修飾節構造の研究』

本書は,日本語の連体修飾構造に見られる特徴について「内容補充の関係」を中心に考察を行っている。全体は2部構成で,第1部は全5章からなる。第1章では,連体修飾節の「内の関係」と「外の関係」について,第2章では,連体修飾節の統語的・意味的特徴について述べている。第3章では,対比的な「は」について,第4章では,連体修飾節の中の「の」について述べている。第5章では,動名詞の性質と動名詞が形成する動名詞節について述べている。第2部は全7章からなる。第1章では,「内容補充の関係」の連体修飾節構造における修飾節と主名詞との意味的関係について述べている。第2章では,「内容補充の関係」にしばしば現れる「という」について述べている。第3章と第4章では,「内容補充の関係」を形成する名詞のうち,因果関係を表す名詞と「可能性」類の名詞について述べている。第5章では,「内容補充の関係」を形成する名詞を分類している。第6章と第7章では,「内容補充の関係」と同様の連体修飾節構造を作る「の」と「こと」について述べている。本書は2007年に筑波大学から学位を授与された博士論文をもとに,加筆修正を加えたものである。なお本書はひつじ研究叢書(言語編)第78巻である。

内容は以下のようになっている。

(2010年2月15日発行 ひつじ書房刊 A5横組 332頁 5,800円+税 ISBN 978-4-89476-457-6

橋本和佳著『現代日本語における外来語の量的推移に関する研究』

本書は戦後の外来語の増加過程を,20世紀の新聞社説や国会演説などを題材とした通時的な語彙調査を通して,そのモデル化を示すことが目的である。本書は11章で構成される。第2章か第9章まではいわゆる「記述的研究」である。大正期以降の朝日新聞・読売の社説と戦後の国会演説について,そこでの外来語の使用実態と変遷を外来語の出現率データや「広範囲語彙」の特徴記述,表記の問題,社説と国会演説との比較,などを手掛かりに考察がなされる。第10章は「理論的研究」である。それまでの章での考察を前提とし,外来語増加に関するモデル化を試みている。この理論的研究には,Logistic曲線を用いた計量的分析が行われ「外来語増加のS-curveモデル」が提示されている。本書は2008年に同志社大学から学位を授与された博士論文をもとに,その後の研究により加筆修正を加えたものである。なお本書はひつじ研究叢書(言語編)第86巻である。

内容は以下のようになっている。

(2010年2月22日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 380頁 9,000円+税 ISBN 978-4-89476-473-6

河周〓著『中近世日本語の終助詞』

本書は,日本語の文末表現に関して,述語に下接する終助詞を対象に,室町時代末期から江戸時代初期における口語的性格の強い資料(キリシタン資料,朝鮮資料『捷解新語』,日本資料『天正狂言本』等)をもとに,具体例を挙げながらその用法の変化について考察したものである。本論第一章「意味変遷が見られる終助詞」では,「かし」「がな」「ぞ」各語の用法上の変遷を,第二章「他の品詞から転成した終助詞」では,「やらん」「やら」「かしらぬ」各語が終助詞に転成する過渡期の様相を検証している。第三章「終助詞の周辺語」では,推定の助動詞であった「げな」が終助詞としての性質を帯びつつある一方で,江戸時代に及んで伝聞を表す機能も見られるようになったことを明らかにし,「げな」の衰退の原因の「さうな」についても言及している。なお,本書は,2008年に専修大学に提出した博士論文をもとに刊行されたものである。

内容は以下のようになっている。

(2010年2月22日発行 専修大学出版局刊 A5判縦組み 212頁 2,400円+税 ISBN 978-4-88125-241-3

廣瀬幸生・長谷川葉子著『日本語から見た日本人―主体性の言語学―』

伝統的な日本人論の「日本人はウチとソトを区別する」「日本人は集団に同化・埋没する」といった集団モデルを言語学的立場から批判し,日本語の言語的側面から「個としての自己意識が強い」ゆえに「対人関係に敏感」という日本人像を示す。第1章は,伝統的日本人論で主張される集団モデルの言語学的批判から始まり,本書の土台・出発点をなす。第2章・第3章では,一人称代名詞の不使用が集団モデルで言うような自我意識の欠如ではなく,自己志向性の強さによるものだということを述べ,その自己志向性の強さと密接に関係する現象として,独り言の問題を取り上げる。第4章では,日本語が伝聞情報を他者に伝える際,伝聞表現が不可欠なのは,日本語が本来的に私的自己中心で,伝達性の弱い言語だということから原理的に説明されることを論じる。第5章では日本語のポライトネス現象における独り言の意義について考察する。第6章では,私的表現・公的表現の区別が言語使用形態の違いとどのような関係にあるかを,まずは小説から例を取って検討し,独り言についても同様の観点から考察を加える。

内容は以下のようになっている。

(2010年3月8日発行 開拓社刊 B5横組み 211頁 1800円+税 ISBN 978-4-7589-2516-7

戸次大介著『日本語文法の形式理論―活用体系・統語構造・意味合成―』

数理・理論・計算言語学を専門とする著者が組合せ範疇文法(CCG)と高階動的理論に基づいて日本語文法の形式化を行い,その成果を提示したものである。言語の研究には,生成文法・語彙化文法(CG,CCG,LFG,HPSGなど)・形式意味論・日本語学などの文科系言語学と,計算機上で言語を扱う自然言語処理・計算言語学等の理科系言語学という二つの流れがあるが,最近では両者に交流や情報の共有があまりない。著者はその両者に橋渡しをすべく,(1)日本語の言語現象に関する網羅性,(2)計算機上で言語を扱うのに十分な形式的厳密性,(3)活用体系・統語構造・意味合成を纏め上げる理論的統合性,という三つの性質を持つ文法体系の構築を試みている。もちろん以上の三つに興味がある人が主な読者なのであろうが,形式化に興味がない文法研究者でもその他の側面を見ることで新たな知見を得られるであろう。例えば(A)活用体系を形態論ではなく統語論で扱う(B)「食べる―食べた」のような対立を基にした活用体系を採用しないなど,著者がその目的のために最適と判断したシステムが現在の主流学説と違っている部分を中心に見ていくという読み方もできる。

内容は以下のようになっている。

(2010年3月10日発行 くろしお出版刊 A5判横組み 352頁 4,200円+税 ISBN 978-4-87424-468-5

佐久間まゆみ編著『講義の談話の表現と理解』

本書は早稲田大学「文章・談話研究会」によってなされた大学の講義の談話分析に関する共同研究の成果,特に,シンポジウム「講義の談話の表現から理解へ―」(2008年6月,表現学会全国大会)の成果報告である。本書は3部12章で構成される。第I部「講義の談話の構造分析」では、「総論」として、講義の談話の展開的構造の分析方法について取り上げる。第II部「講義の談話の表現特性」では、講義の談話の展開的構造を支える種々の表現特性について多面的に分析する。第III部「受講生の講義理解の諸相」では、「各論二」として、大学生の講義の談話の理解のあり方について、講義要約と受講ノートを中心に分析する。執筆者は,石黒圭,小沼喜好,河内彩香,佐久間まゆみ,ポリー・ザトラウスキー,鈴木香子,高橋淑郎,田中哲行,寅丸真澄,中井陽子,朴恵〓,藤村知子,渡辺文生である。

内容は以下のようになっている。

(2010年3月14日発行 くろしお出版刊 A5横組み 310項 3800円+税 ISBN 978-4-87424-470-8

沖森卓也著『はじめて読む日本語の歴史―うつりゆく音韻・文字・語彙・文法』

本書は,日本語の歴史を学ぶ学生のための概説書である。第1章「日本語の歴史とは何か」では日本語の系統,分布,資料,時代区分などの前提知識を,第2章「奈良時代までの日本語」〜第7章「明治以降の日本語」では,各時代ごとに,音韻・文字・語彙・文法についての要点を講義調で解説している。例えば,第2章「奈良時代までの日本語」の下位項目は以下の通りである。「奈良時代までの言語と社会―日本語が誕生する」「伝来した漢字はどのように使われたか」「二種類の漢字音―呉音と漢音」「万葉仮名で日本語を書く」「奈良時代までの母音と子音」「動詞の活用が成立する」「形容詞・代名詞が整備される」「古代語法が確立していく―付属語と待遇表現」「和語とは何か―固有性を検証する」「漢語が限定的に用いられる」。巻末に索引を付す。

内容は以下のようになっている。

(2010年3月25日発行 ベレ出版刊 A5判縦組み 336頁 2,000円+税 ISBN 978-4-86064-255-6

田中ゆかり著『首都圏における言語動態の研究』

本書は,首都圏をフィールドとし,現地でのフィールドワーク,アンケート調査を通して,言語使用実態ならびに言語意識から日本語,または日本語社会の変化を観察することを目的とする。本書は5部27章で構成される。その内,第1部から第3部までは,首都圏方言の成立,言語変化事象の方向性について,アクセント・イントネーションを事例として,「気づき」「言語変化」という視点から検討が行われている。また,第4部と第5部では,新しいメディアが誕生することで成立する過程にある「打ちことば」と「社会方言変種」の実態,ならびにそれらの受容態度と受容感性に着目した形で考察がなされている。また,本書は日本語学に軸足を置きつつも,特に「打ちことば」や「方言」に対する社会価値については日本学の文化研究として位置付けている。本書は2009年に早稲田大学から学位を授与された博士論文をもとに加筆修正を加えたものである。

内容は以下のようになっている。

(2010年3月31日発行 笠間書院刊 A5判横組み 600頁 5,500円+税 ISBN 978-4-305-70506-8