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新刊紹介 (『日本語の研究』第7巻1号(通巻244号)掲載分)

「新刊書目」の一部について,簡単な紹介をしています。なお,論文集等については,論文リストを添えるなど,雑誌『日本語の研究』掲載分と一部異なる点があります。(価格は本体価格)

月本雅幸・藤井俊博・肥爪周二編『古典語研究の焦点』

本書は武蔵野書院創立九十周年を記念して企画されたもので,古典日本語を扱う若手・中堅の研究者による研究論文を収めた論文集である。万葉集巻二十所載防人歌の言語について検討し,東海地方と関東地方とでは差異が認められることや防人歌は中央の耳を持った話者が音声レベルで筆録したものであることなどを述べる屋名池誠論文,正倉院文書のうち「請暇不参解」と呼ばれる文書群の中には下層識字層の言葉が見られ,それらの中には中世まで文学作品中には現れない語と平安時代和文作品で用いられる語があることを述べる長沼英二論文,成立年代について従来問題視されてきた醍醐寺本『元興寺縁起』の用字等を再検討し,奈良朝ではなく平安朝以降の作成であるという説が妥当なものであることを述べる馬場治論文,和漢の混淆という現象が起きた経緯にはいくつかのケースがあり,そのうち漢文訓読の言葉を仮名で記そうとした結果和文的要素を含んだ三宝絵の様なケースについては,仮名で書くという(文体ではなく)表記体の選択・変換という行為が和漢の混淆と深く関わっていることを述べる乾善彦論文など計46編の論文を収める。

(2010年1月31日発行 武蔵野書院刊 A5判縦組み 1,008頁 13,000円+税 ISBN 978-4-8386-0239-1

森田良行著『日本語の慣用表現辞典』

本書は,日本語に数ある慣用表現について,それらの語句を使用する場面や話題から,全体を十二のトピックに分けてまとめた表現辞典である。既存する多くの『慣用句辞典』と銘打つものが扱う「油を売る」とか「道草を食う」「鼻が高い」など狭義の慣用句にとどまらず,読者が必要とする場面を考え,一種の決まり文句や,慣用化された言い回し,種々の諺類などを網羅して,話題や場面別にまとめて対照できる,表現・理解に役立つ辞書を目指して編まれたものである。従来の辞書では対比的に類似の語句との意味差,使い分け,時には発想の違いにまで触れることは困難であったことを解消する試みとして,場面・話題からの分類方式をとり,類義の紛らわしい語句と対照しながら細部にわたって分析解説を施している。

(2010年2月20日発行 東京堂出版刊 B5縦組み 364頁 2,800円+税 ISBN 978-4-490-10776-0

李漢燮編『近代漢語研究文献目録』

本書は,近代漢語語彙に関する研究文献を調査し,目録としてまとめたものである。明治以降日本で使われるようになった漢語語彙を見出しに立て,当該漢語の成立及び由来・出自・概念・意味について考察した文献を収録している。収録文献の数は約8,200件(延べ)である。また一部「株式」「身分」「瓦斯」「倶楽部」のような和語や混種語,中国語・韓国語に入って漢語として認識されているような語彙も見出し語の中に含まれている。原則的に1945年から2008年までに日本で発表された文献を中心に採録しているが,それ以前,以後のものや韓国,中国,台湾,欧米の研究者が現地で発表したものも,その範囲に含まれる。収録した文献類については,語彙の由来や概念,意味などを解説した事典類,語源辞典類,事物起源に関する辞典類や漢語近代語に関する研究書類,論文類のほか,これらに近い雑誌記事や科学研究費の報告書,博士論文なども一部挙げられている。

(2010年2月28日発行 東京堂出版刊 A5判横組み 328頁 9,000円+税 ISBN 978-4-490-20687-6

西端幸雄著『平安朝仮名文学作品語彙の研究』

平安朝仮名文学作品における「散文語彙」と「和歌語彙」の特徴を,「分類語彙表」に倣って作成した古典語のシソーラスに基づいて明らかにした書である。「竹取物語」「伊勢物語」「土左日記」「蜻蛉日記」「枕草子」「源氏物語」「紫式部日記」「更級日記」「大鏡」「平中物語」「大和物語」「八代集」を中心に取り上げ,各作品の使用語彙を体の類【名詞】・用の類【動詞】・相の類【形容語・副詞】に分類し,具体的な語数や語の出現比率を示しながら,それぞれの性格を比較している。例えば,第3章「歌物語の語彙」では,いわゆる歌物語に属する作品でも「伊勢物語」と「大和物語」の使用語彙の性格がきわめて近似しているのに対し,「平中物語」はそれらとはかけ離れ,物語的性格を強く帯びている旨を指摘しており,前二者と後者を異なるジャンルの作品として扱う必要性を強調している。なお,本書は既発表の論文を全面的に書き換えたものである。

(2010年3月5日発行 金壽堂出版刊 A5判横組み 180頁 2,800円+税 ISBN 978-4-903762-08-1

蜂矢真郷著『古代語の謎を解く』

本書は現代まで用いられている語や語構成要素・地名について,国語史的な知見から解説をするものである。入門書・啓蒙書の形をとりながら,上代特殊仮名遣い,有坂・池上法則,金田一法則,被覆形―露出形に関する有坂の指摘,古辞書における記述など,最先端の研究成果による客観的根拠を丁寧に示しつつ,種々の語の歴史を述べていく。「現代に続く古代語」と題した第1章では,「縦と横」「男と女」「ヲ[小]とコ[小]」など現代でも用いられる語について,古代ではどのように用いられていたのかを述べる。「一音節の語構成要素」と題した第2章では,「ト[利]」,「ト[門]」と「ト[戸]」と「ト[外]」,「タ[手]」と「テ[手]」,「マ[目]」と「メ[目]」といった,共通する要素か否かの見極めが難しい語構成要素類を取り上げ,詳細な客観的論拠によりながら,江戸の音義説のような恣意的な解釈に陥らぬ検討の手法を実践する。「古代からの地名」と題した第3章では,淡路,信濃,島根,新潟,津,敦賀といった地名について,語構成などの国語学的な観点から検討する。

(2010年3月15日発行 大阪大学出版会刊 B6判縦組み 314頁 2,300円+税 ISBN 978-4-87259-305-1

田中寛著『複合辞からみた日本語文法の研究』

「にあたって」「わけにはいかない」などのようないわゆる複合辞について日本語の発想という点に留意しつつ考究したものである。序章「複合辞からみた日本語文法の研究―文型研究と文法研究の接点をもとめて―」で文法研究と日本語教育,複合辞と文型,文脈と用法,文型と語彙などについての基礎的考察をする。第1部と第2部では接続表現を扱う。各章で形(例えば助詞+動詞テ形)または意味(例えば「きっかけ」を表す複合辞)をテーマにしていくつかの複合辞等を扱い,それらの意味用法,類義表現の異同などを記述する。第3部と第4部では文末表現を扱う。各章で〈諦念〉表現(例:やむをえない),〈禁止〉表現,「かもしれない」「にちがいない」等の判断系表現,「てならない」等の命題への評価を表す形式,「AといいBといい」「とはいえ」など「という」の変異形式,否定文末形式について考察している。附章で名詞述語文と“説明”のモダリティ表現を論じている。巻末に複合辞研究文献目録を付す。

内容は以下のようになっている。

(2010年3月30日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 632頁 9,800円+税 ISBN 978-4-89476-479-8

須田淳一・新居田純野編『日本語形態の諸問題―鈴木泰教授東京大学退職記念論文集―』

鈴木泰氏の退職を記念して編まれた論文集である。「古典語のパラダイムについて」(鈴木泰),「主体-客体表現と形態論的なしるしづけ―類型学からみた日本語―」(まつもとひろたけ),「こと-ばの かた-ちの こと」(工藤浩),「蘭学者の文法認知と術語の様相」(岡田袈裟男),「『V』との対応をなさない『V-(サ)セル』」(早津恵美子),「沖縄西表島祖納方言」(金田章宏)のほか,印省熙,黄美静,近藤雅恵,齋美智子,施淑恵,須田義治,スネジャナ=ヤンコヴィッチ,高山道代,津留崎由紀子,林淳子,方美麗,松浦恵津子,山崎貞子,山本博子,楊金萍,新居田純野,須田淳一の論文,計23編を収める。巻末に「鈴木泰先生の経歴と業績」を付す。

内容は以下のようになっている。

(2010年3月31日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 364頁 6,800円+税 ISBN 978-4-89476-500-9

土岐哲著『日本語教育からの音声研究』

シリーズ「言語学と言語教育」の第20巻。本書は,日本語教育と日本語音声についての筆者が過去に発表した諸論文にそれぞれ加筆修正を加えたものである。収録された論文は,主に自発性の高い自然な日本語音声に焦点を当てて観察し考察したものである。本書は3部で構成される。第1部では,日本語音声教育とその研究を史的に概観する。第2部は,日本語音声の実態を,日本国内を始め,ミクロネシアや台湾などの海外の日本語もそのフィールドと対象とし,日本語音声の地域差の解明を目指す内容となっている。第3部は,第2部までの研究及びその結果を踏まえ,筆者の「日本語音声教育観」を述べ,音声教育,音声研究と社会との関係が扱われる。

(2010年3月31日発行 ひつじ書房刊 A4判横組み 280頁 5,800円+税 ISBN 978-4-89476-488-0

柳田征司著『日本語の歴史1 方言の東西対立』

本書は,日本語諸方言間の違いが非常に大きく,それが生じた時期が遥か昔だとした先学の通説を疑い,日本語諸方言間の違いが,いつ,どのようにして,なぜ生じたのかについて,筆者の解釈を記したものである。第1章では,従来の研究で指摘された日本語方言の東西対立を紹介し,この対立の要因として考えられた基層語説と方言周圏論について筆者の考えが述べられる。第2章から第7章までにおいて,日本語の根幹にかかわる事象として,語法の東西対立とその成立時期について述べている。第2章ではハ行同士の促音便とウ音便について,第3章では東部方言における促音の多用について,第4章では形容詞連用形の音便について,第5章では断定の助動詞「ダ」と「ジャ」「ヤ」について,第6章では打消の助動詞「ナイ」と「ン」について,第7章では命令形「起きろ」と「起きよ」「起きい」について。第8章ではアクセントについて東京式アクセントと京都(京阪)式アクセントが取り上げられる。第9章では,母音連続の融合と非融合のアクセント形式との関係が考察される。

(2010年4月15日発行 武蔵野書院刊 B5版横組み 208頁 2,000円+税 ISBN 978-4-8386-0422-7

寺島浩子著『明治三〇年代生まれ話者による 町家の京言葉分類語彙編』

著者の前著『明治三〇年代生まれ話者による 町家の京言葉 ―付 近世後期上方語の待遇表現―』(武蔵野書院2006年)の続編にあたるものである。前著はデータ(明治30年代生まれ話者4人から得られたデータ)をもとにして「人称代名詞」「あいさつ表現」などのテーマごとに分析したものであったが,本書は元データの単語などを「衣服」「食物」「住居・道具」などに類別して語彙集を編んだものである。この語彙集は表形式になっており,例えば「衣服」の項目には,上から一段目には「イシキアテ」「イッチョーラ」「イマキ」などの語が並び,二段目はその漢字表記「居敷当」「一張羅」「湯巻」などが並び,三段目に品詞(あるいは連語)表示,四段目に意味・説明が来るようになっている。全体は3部構成で,第1部は語彙集,第2部は表現集(単語ではなく待遇や命令表現など),第3部は補遺(分類から漏れた品詞・慣用句等のほか,「数え唄」「子守唄」など)となっている。

内容は以下のようになっている。

(2010年4月30日発行 武蔵野書院刊 A5判縦組み 512頁 14,000円+税 ISBN 978-4-8386-0243-8

土岐留美江著『意志表現を中心とした日本語モダリティの通時的研究』

本書は,ひつじ研究叢書〈言語編〉第82巻である。古代語のモダリティ研究は,いわゆる推量表現を中心に進められており,推量と意志とは多くの推量系のモダリティ形式において表裏の関係にあるが故に,従来,意志系のモダリティが研究対象として正面から取り上げられることは少なかった。本書は意志系のモダリティ形式について,現代語にいたるまでの通時的な変遷の過程に焦点を当て,その成立の体系的考察を試みた書である。3部から成り,第1部では助動詞「う」と「だろう」について江戸語を中心とした考察を,第2部では,形式名詞「つもり」を中心に文法化の実態の考察を行う。第3部では,最もシンプルで原始的な方法である動詞終止形終止による意志表現について,古代語と現代語とを比較して述べている。第3部付章として現代日本語と現代中国語の意志表現を概観し,最後に意志表現の通時的考察についてのまとめを行う。なお,本書は著者の既発表の論文をまとめたものである。

(2010年5月21日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 292頁 6,200円+税 ISBN 978-4-89476-474-3

仁田義雄著『語彙論的統語論の観点から』

全4巻予定の「仁田義雄日本語文法著作選」シリーズの第3巻(第3回配本)である。単語が持つ語彙的な特性と文法との関わりを探ることによってきめこまかな文法記述を目指した著者の軌跡を1970年代の論文から2000年代までの論文を収録することによって示したものである。全体は4部12章構成である。第1部「文法と語彙や意味との相関を考える」には初出1982年と初出2002年の論文が並べてあり,初期の問題意識がこの20年でどのような深化をしたかを跡づける。第2部「語彙論的統語論の姿勢から」は,動詞をとりあげ,それがとる格成分の分析を行い,それに基づいて動詞の分類を行ったり,その観点からどのようなことが言えるかを扱った論文を収めている。第3部「動詞の語彙論的統語論」は動詞の特性が格成分だけではなく,ヴォイス,アスペクトなどの文法カテゴリとどう関わるかをテーマにした論文が並ぶ。第4部「動詞と格支配と格体制」は動詞と格成分になっている名詞の意味特性の関係を扱った論文と,1000余りの動詞を格体制のあり方によって分類した論を収めている。

内容は以下のようになっている。

(2010年5月21日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 354頁 4,800円+税 ISBN 978-4-89476-452-1

小林隆・篠崎晃一編『方言の発見―知られざる地域差を知る―』

地域差の研究が進んでいる音韻やアクセントといった分野ではなく,イントネーション・オノマトペ・感動詞・言語行動・談話・比喩というような(構造が不明瞭で単位の設定の仕方やまとめ方に関して扱いにくい面があるため)地域差の研究があまり進んでいなかった分野に取り組んだ論文集である。質問文のイントネーションを扱った木部暢子論文,「大声で泣く様子」のオノマトペを扱った小林隆論文,応答詞を扱った友定賢治論文,「失敗の感動詞」を扱った澤村美幸論文,ポライトネスを扱った陣内正敬論文,働きかけ方を扱った篠崎晃一論文,卑罵表現を扱った西尾純二論文,談話展開を扱った久木田恵論文,比喩表現を扱った半沢幹一論文,地域差ではなく方言談話論の対象と方法などについて述べた沖裕子論文の全10編を収載している。

内容は以下のようになっている。

(2010年5月26日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 220頁 3,600円+税 ISBN 978-4-89476-495-8

古田東朔著 鈴木泰・清水康行・山東功・古田啓編集 斎藤文俊・常盤智子解説校訂『古田東朔 近現代 日本語生成史コレクション 第3巻 日本語へのまなざし 内と外から―国語学史1』

主として幕末から近代の国語史・国語学史・国語教育を扱い,それらに関するいろいろな物事がいかなる経緯を経て成立したのかを明らかにしてきた著者の著作集(全6巻)が刊行され始めた。第1〜2巻が「国語史」,第3〜4巻が「国語学史」,第5巻が「国語教育」,第6巻が「伝記・随筆」という構成になっている。本書はその第3巻で第1回配本にあたる。論文20編を収録しているが,前半の12編は主に江戸時代の日本人研究者(本居宣長・鈴木朖・本居春庭等)の研究に関する論文であり,諸本の成立事情,研究者の影響関係などについて考察した論が並ぶ。また後半の8編は幕末明治期の外国人研究者(ホフマン・アストン等)の研究に関する論文となっている。研究史上におけるアストンの重要性を示すいろいろな側面からの論文が一書にまとめられているのは著作集ならではと言えよう。

内容は以下のようになっている。

(2010年5月29日発行 くろしお出版刊 A5判縦組み 440頁 8,500円+税 ISBN 978-4-87424-482-1

高梨信乃著『評価のモダリティ―現代日本語における記述的研究―』

「ほうがいい」「てはいけない」「べきだ」などの形で示されるモダリティを「評価を表すモダリティ」と捉え,その意味・用法を記述するとともに,モダリティ体系における位置づけを試みたものである。全体は3部に分かれる。第1部「評価のモダリティとは」で先行研究の概観と評価のモダリティの概略について述べる。第2部「評価のモダリティの記述」は各論にあたり,「―いい,―いけない」型,「べきだ」等の助動詞型,それ以外(「必要がある」「ことはない」「わけにいかない」など)を扱い,記述的研究を行う。第3部「評価のモダリティをめぐる問題」では,「べきだった」のようにタ形を取った場合どういう意味を表すか,隣接するモダリティとの関係はどうか,評価モダリティの位置づけはどうか,について述べる。なお,本書は2006年に大阪外国語大学に提出した博士学位論文に加筆・修正を加えたものである。

内容は以下のようになっている。

(2010年6月12日発行 くろしお出版刊 A5判横組み 258頁 3,800円+税 ISBN 978-4-87424-483-8

加藤泰彦・吉村あき子・今仁生美編『否定と言語理論』

「否定」をテーマに様々な領域の研究者が書いた論文集である。全体は3部に分かれる。第I部は「統語論」で,この分野の展望を含んだ「否定と統語論」(加藤泰彦)に続いて,岸本秀樹,西岡宣明,渡辺明,久野正和,片岡喜代子,ジョン=ホイットマン,宮地朝子,小林賢次,家入葉子の論文を収録。主に生成文法系のアプローチを取る研究と日本語の歴史的研究がその内容となっている。第II部は「意味論」で,論理学的アプローチについて触れる「否定と意味論」(今仁生美)のほか,中西公子,小淵-Philip麻菜,工藤真由美の論文を収録。第III部は語用論で,否定語用論研究の話題を三つ取り上げた「否定と語用論」(吉村あき子)に続いて,高見健一,山田政通,田中廣明,中村芳久,河西良治の論文を収録しており,機能主義,談話分析,新グライス派,認知文法,カテゴリー論など多彩な立場からの論考が並ぶ。

内容は以下のようになっている。

(2010年6月18日発行 開拓社刊 A5判横組み 496頁 6,400円+税 ISBN 978-4-7589-2152-7

須田義治著『現代日本語のアスペクト論―形態論的なカテゴリーと構文論的なカテゴリーの理論―』

奥田靖雄のアスペクト論を批判的に検討し,継承・発展させようとしたものである。また,文法理論の基礎論について論じたものである。全体は2部に分かれる。第I部では,先行研究の奥田,工藤真由美の論を検討して,形態論的なカテゴリーとしてのアスペクトの基本的概念を明らかにする。さらにパーフェクトの概念を規定して,アスペクト,テンスとの関係を明確にする。続けて構文論的カテゴリーとしてのアスペクチュアリティについて論じる。その後,動詞の語彙的な意味に基づく動詞分類について述べ,動作/変化動詞という分類ではなく,限界/無限界動詞という分類を中心とすることを論じる。最後に小説というテキストに関わるアスペクト,テンスについて扱う。第II部では,形態論と構文論についての,より一般的な検討を行っている。つまりアスペクト論を離れ,形態論的なカテゴリーとはどのようなものか,構文論のカテゴリーとして何を認めるべきかなどについての考察を進めている。なお,本書の第I部は2002年に東京外国語大学に提出した博士論文をもとに修正を加えたものであり,それに第II部を加えて一書としたものである。

内容は以下のようになっている。

(2010年6月23日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 404頁 6,800円+税 ISBN 978-4-89476-382-1

上野善道監修『日本語研究の12章』

上野善道氏の退職を記念して編まれた論文集である。日本語研究の研究分野を12のトピックに分け,その具体的な研究事例から,その研究分野を取り上げる意義や魅力が伝わるように企画された。本書は,題目が示すように12章で構成される。「ことばと社会」(第1章)に始まり「方言の分布」(第2章)「アスペクト」(第3章)「日本語の格」(第4章)「名詞と文法」(第5章)「語用論」(第6章)「意味をめぐって」(第7章)と続く。第8章「文献の世界から」は文献研究,第9章「日本語を教える」は日本語教育,第10章「対照研究」となる。第11章,第12章はアクセント研究に充てられる。それぞれの章は1本から5本までの論文で構成され,計35本の論文が所収される。

内容は以下のようになっている。

(2010年6月25日発行 明治書院刊 A5判横組み 528頁 5,000円+税 ISBN 978-4-625-43430-3