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新刊紹介 (『日本語の研究』第1巻1号(通巻220号)掲載分)
「新刊書目」の一部について,簡単な紹介をしています。なお,論文集等については,論文リストを添えるなど,雑誌『日本語の研究』掲載分と一部異なる点があります。(価格は本体価格)
- 上野智子著 『地名語彙の開く世界』
- 松田文子著 『日本語複合動詞の習得研究―認知意味論による意味分析を通して―』
- 田中寛著 『統語構造を中心とした日本語とタイ語の対照研究』
- 許明子著 『日本語と韓国語の受身文の対照研究』
- 小林英樹著 『現代日本語の漢語動名詞の研究』
- 坂梨隆三著 『近世の語彙表記』
- 田中寛著 『日本語複文表現の研究―接続と叙述の構造―』
- 小林隆著 『方言学的日本語史の方法』
- 小松英雄著 『みそひと文字の抒情詩―古今和歌集の和歌表現を解きほぐす―』
- 秋元実治・尾形こづえ・遠藤光暁・近藤泰弘・Elizabeth Closs Traugott著 『コーパスに基づく言語研究―文法化を中心に―』
- 国語語彙史研究会編 『国語語彙史の研究23』
- 真田信治監修 中井精一・内山純蔵・高橋浩二編 『日本海沿岸の地域特性とことば―富山県方言の過去・現在・未来―』
- 林巨樹・池上秋彦・安藤千鶴子編 『日本語文法がわかる事典』
- 前田富祺・野村雅昭編 『朝倉漢字講座3 現代の漢字』
- 前田富祺・野村雅昭編 『朝倉漢字講座5 漢字の未来』
- 山梨正明ほか編 『認知言語学論考3』
- 森岡健二著 『日本語と漢字』
- 諸星美智直著 『近世武家言葉の研究』
- 三保忠夫著 『古文書の国語学的研究』
- 角田三枝著 『日本語の節・文の連接とモダリティ』
- 飛田良文編 『国語論究11―言文一致運動―』
- 北原保雄監修・編 『朝倉日本語講座5 文法1』
- 北原保雄監修・尾上圭介編 『朝倉日本語講座6 文法2』
- 渡辺富美雄編 『新潟県方言辞典 中越編』
上野智子著 『地名語彙の開く世界』
「生活語彙の開く世界」シリーズの第2巻である。地名は、生活や文化を窺い知るための資料として、地理・歴史・民俗など諸学で問題となってきた。本書は言語学的立場から行った調査研究とその考察をまとめたものである。全体は5部に分かれている。第1部「地名の海へ」は地名調査とはどのようなものかを概説し、地名研究の流れを紹介する。第2部「地名のレトリック」は、数量、比喩、伝説などのテーマ別に地名との関わりを見ていく。第3部「地名と方言」は、入道雲、岩礁、などが各地域でどのように名付けられているかを調査・考察している。第4部「地名の周辺」では、海岸部の地名と、色名・人名にちなむ地名などを扱う。第5部「地名の総合学を」は、命名視点、命名心理についての考察をし、まとめとして地名研究の問題点、研究の枠組みに関する論を展開する(なお、本書の基になった論文はp.25にまとめられている)。
(2004年1月25日発行 和泉書院刊 A5判横組み 245ページ 2,800円+税 ISBN 4-7576-0240-5)
松田文子著 『日本語複合動詞の習得研究―認知意味論による意味分析を通して―』
田中寛著 『統語構造を中心とした日本語とタイ語の対照研究』
許明子著 『日本語と韓国語の受身文の対照研究』
シリーズ言語学と言語教育の第1〜3巻として出版されたものである。
- 第1巻『日本語複合動詞の習得研究』
「〜こむ」を主要な事例として、その多義構造の分析をし(意味研究)、その多義性に対して学習者が持っている意味知識の調査を行い(語彙の習得研究)、辞典作成など語彙習得支援方法の考察と提案を行っっている。2002年にお茶の水女子大学より学位授与された論文が基になっている。 - 第2巻『統語構造を中心とした日本語とタイ語の対照研究』
日本語とタイ語の対照研究を行ったものである。本編の前にタイ語概説、タイ語の研究史を収載しており、巻末にはタイ語文献目録、国外タイ語学研究論文目録を付す。日本語と比較をしながら、タイ語の文法を解説したものと読むこともできる。 - 第3巻『日本語と韓国語の受身文の対照研究』
日韓両言語の受身に関する対照研究である。第1部で、各々の受身(被動)文の特徴、および分類など構造面を論じ、第2部で使用に関する調査を(テレビドラマ、新聞コラムなどを題材として)行い、その両語の違いを考察する。
第1巻(2004年2月10日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 242ページ 7,000円+税 ISBN 4-89476-204-8)
第2巻(2004年2月20日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 733ページ 19,000円+税 ISBN 4-89476-205-6)
第3巻(2004年2月20日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 266ページ 6,000円+税 ISBN 4-89476-206-4)
小林英樹著 『現代日本語の漢語動名詞の研究』
漢語動名詞(「する」を付けると、いわゆる漢語サ変動詞になる名詞)を、文中での統語的な振る舞いを視野に入れて分析したものである。従来、漢語語構成の研究は内部構造の分析に集中しており、文中の他の要素といかなる関係を持つのかという点に関しては等閑視されてきた。その視点を重視し、新聞社説7年分のデータを基に論じている。全体は5部に分かれる。第1部「動詞のタイプと非対格性」では語彙概念構造を用いて、動名詞の意味を考え、「〜する」とは言えるが「〜をする」とは言えない動名詞の分析をする。また、自他両用の二字漢語動名詞がどのような意味分布を示すかを調べる。第2部「二字漢語動名詞」では、動詞要素+名詞的要素のタイプ、動詞要素+動詞要素のタイプのそれぞれについて、項の取り方や意味関係をもとに下位分類をする。第3部「三字漢語動名詞」、第4部「四字漢語動名詞」についても二字の時と同様の分析を進める。第5部「おわりに」ではまとめと今後の課題を述べる。なお、本書は学位論文(2001年に大阪大学に提出)を基に出版したものである。
(2004年2月15日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 369ページ 6,000円+税 ISBN 4-89476-199-8)
坂梨隆三著 『近世の語彙表記』
近世を中心とした表記・語彙に関する既発表論文などをまとめたものである。全体で24編を収める。主な内容は以下のとおりである。近松の四つがな、接尾語「ずくめ」の仮名遣、曽根崎心中の仮名遣い(「は」と「わ」、「い・ひ・ゐ」、「う・ふ・む」、「え・へ・ゑ」、「お・ほ・を」)、「ふ」を「ム」とよむこと、堀川波鼓の表記、浄瑠璃本の半濁音符、かなづかいの変遷、三馬の白圏、江戸期戯作の片仮名、近世のカとクヮ―擬声語の場合―、明恵上人伝記の表記・文体、平家物語の「さぶらふ」、下学集で「日本俗」などの注記のある語、アンドンとアンドウ、『ヅーフハルマ』の方言、ベッドとベット、最近の外来語のアクセント、などの問題を扱っている。
(2004年2月20日発行 武蔵野書院刊 A5判縦組み 519ページ 15,000円+税 ISBN 4-8386-0211-2)
田中寛著 『日本語複文表現の研究―接続と叙述の構造―』
日本語教育の実践の立場から、複文における接続と叙述の様相を用例に基づき分析したものである。序章「日本語複文表現の記述的研究・序説」で目的・構想を述べ、また、複文についての考え方を述べる。本論は5部に分かれる。第1部「条件表現の諸相」はト、バ、タラ、ナラの諸形式やトイウトなどの周辺形式を扱う。第2部「条件表現の周辺」では、テハ、テモ、ノニなどを扱う。第3部「原因理由と目的の表現」では、カラ、ノデ、コトデ、コトカラ、タメニ、ヨウニなどを扱う。第4部「形式名詞と後置詞の表現」では、トコロ、ウエ、動詞テ形(ニヨッテ、ニタイシテ等々)を扱う。第5部「補文節、連体節と複合辞の表現」では、補文節、内容節の接続機能、および、動詞述語・形容詞述語との意味関係、名詞の接続的な成分(〜際、〜折など)について述べる。
(2004年2月27日発行 白帝社刊 A5判横組み 691ページ 8,800円+税 ISBN 4-89174-640-8)
小林隆著 『方言学的日本語史の方法』
日本語史の研究に方言学の視点を導入することにより従来の中央語文献中心の記述を見直し、史的研究の新たな可能性を提示しようとしたものである。全体は3部に分かれる。第1部「理論・方法編」では、方言学的日本語史の目的設定、方法論の考察などが行われる。さらに、資料拡大のため、近世の農書に注目するなど地方文献の開拓を論じ、日本語史のための(つまりは現状調査のためではない)通信調査法や全国方言調査の試みについて述べる。第2部「中央語史編」では、中央語を中心とした語史の見直しを主題とする。まず、「頬」を取りあげ、文献による語史と方言から見た語史の食い違いについて検討する。そこで不一致の要因を指摘し、研究上留意すべき点を明らかにする。他に、「顔」、「眉毛」、「踝」、「薬指」、「コマ(駒)」、「雄馬」、「一昨日」、「旋毛」、格助詞「へ」などを扱う。第3部「方言史編」では、方言史の構築を主題とする。中央語起源の語の流入から定着まで、周圏分布と再生現象、東西対立などの問題を論じ、方言形成モデルの作成を行う。なお本書は2004年度の新村出賞を受賞した。
(2004年2月27日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 737ページ 18,400円+税 ISBN 4-89476-200-5)
小松英雄著 『みそひと文字の抒情詩―古今和歌集の和歌表現を解きほぐす―』
旧著『やまとうた―古今和歌集の言語ゲーム―』(講談社 1994年)を全面改稿したものである。それに伴い、イントロダクション、巻末の「『やまとうた』その後」などが加えられ、また、本論に「さつき待つ花橘」(夏・139)が加えられている。それ以外は、旧著の構成を踏襲している。全体は、序論と本論からなる。序論「和歌表現解析の基礎」では、古今集が、藤原定家など後世の人によって、編纂当時の理解の仕方とは違う解釈をされており、後の歌学の伝統に沿った解釈は、その誤った解釈を引き継いできたため、徹底的な読み直しが必要と述べる。そして、古今和歌集の和歌がどのような論理に基づいているのかを解説する。本論「和歌表現の解析」では、12の和歌を主な対象として、従来の説を批判しながら、それぞれの表現を解きほぐしていく。
(2004年2月28日発行 笠間書院刊 A5判縦組み 357ページ 2,800円+税 ISBN 4-305-70264-9)
秋元実治・尾形こづえ・遠藤光暁・近藤泰弘・Elizabeth Closs Traugott著 『コーパスに基づく言語研究―文法化を中心に―』
青山学院大学総合研究所人文学系センターのプロジェクトの研究成果を出版したものである。
- 第1章「文法化」(秋元実治)
*2003年のトラウゴット論文などを踏まえ、文法化研究の基本的概念の概説を行う。 - 第2章「as/so far asとas/so long as構文に見られる文法化とイディオム化―」(秋元実治)
*英語のas/so far asなどの句を対象に文法化の実例研究を行う。 - 第3章「助動詞性と本動詞性―「venir+不定法」構文の文法化―」(尾形こづえ)
*フランス語「venir+不定法」構文の文法化を扱う。 - 第4章「中国語の“来”の文法化―『老乞大』諸本におけるテンス・アスペクトマーカーの変化を中心として―」(遠藤光暁)
*中国語の“来”の文法化現象を『老乞大』諸本で確認する。 - 第5章「日本語コーパス言語学とコンピュータ処理」(近藤泰弘)
*コーパス言語学の日本語処理には(現段階では)PerlとXMLの使いこなしが重要と説く。 - 第6章「Exaptation and Grammaticalization」(Elizabeth Closs Traugott)
*一見、類似概念に見える「Exaptation」と「Grammaticalization」についての検討。
(2004年3月20日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 164ページ 3,200円+税 ISBN 4-89476-216-1)
国語語彙史研究会編 『国語語彙史の研究23』
「特集・中世語」の論文8編、一般論文6編を収める論文集である。
●特集の論文
- 日本語語彙史の中世語─粗布(カコウ)・下二段動詞「漬(ヒ)ツ」・副詞「え」─(山内洋一郎)
*中世語彙にも上代起源のものがあることをカコウを例に論ずる。また中世語であるが、前代からの継続語か新出現語かの検討が必要な語について「え」を例にして論ずる。 - 拗音(柳田征司)
*拗音とは何かを整理し、拗音と拗音表記の間にいかなる関係を想定すべきかを論ずる。 - セハシ(忙)の成立とセバシ(狭)(小林賢次)
*セハシの成立、和歌における使用状況、セバシとの関連を考える。 - 『神代上下抄』になくて『古活字版日本書紀抄』にある語・語句・文の性格─抄物語彙の側面を考える─(小林千草)
*両足院蔵『神代上下抄』第1冊40丁までにあたる範囲を『古活字版日本書紀抄』と対照調査。 - 「おぎろ(賾)」の語史─中世語の一つの流れ─(山本真吾)
*上代語に見える「おぎろ」が細々と命脈を保ち、室町時代の文献に再び多く登場するまでの語史を記述。 - 『コンテムツスムンヂ』の「平等なる心」について(鈴木広光)
*対訳研究により意味不明語の意味を確定する方法について、その有効性と限界を述べる。そして「平等なる心」という意味を考える上でどんな問題があるかを見ていく。 - 「善悪」の語史─中世前期の漢字仮名交り文における名詞用法─(玉村禎郎)
*「善悪」という語について、前の論文で変体漢文における使用状況を調査をしたのに続き、ここでは漢字仮名交り文を調査。 - 今昔物語集の接続語─「而ル間」「其ノ時ニ」を中心に─(藤井俊博)
*『今昔物語集』において段落をつなぐ接続語を採集し、使用傾向を述べる。
●一般の論文
- 中古における不可能を表す補助動詞─カヌ・ワブ・ワヅラフ・アヘズ─(吉井健)
*カヌ・ワブ・ワヅラフ・アヘズの意味・用法の違いについて述べる。 - 唐代口語・本朝漢詩文から平安古記録へ流入した語をめぐって─登時(トウジ)・本自(もとより)・奔波(ホンパ)(奔営(ホンエイ))・等閑(トウカン)の場合─(堀畑正臣)
*「登時」などの言葉の流入パターンを示し、この観点から研究することの必要性を述べる。 - 早引節用集の危機─明和元年紛議顛末─(佐藤貴裕)
*明和元年、柏原屋与市と木屋伊兵衛による『早引大節用集』が刊行不可になりそうな事態が出来した。そのとき、何が起こったのかを扱う。 - 鴎外「舞姫」にみえる漢字・漢字列─中国近世語とのつながり─(浅野敏彦)
*「舞姫」と共通する中国近世語を調査し、報告する。 - 上代・中古に見られる形容詞派生の動詞─形容詞における意味分類との関連を中心に─(林浩恵)
*上代から中古の文献を調査し、形容詞から派生した動詞を観察。動詞性接辞「〜ブ」「〜ム」「〜ル」「〜ス」などの機能・用法について述べる。 - 語基を共通にする形容詞と形容動詞(蜂矢真郷)
*メヅラナリ―メヅラシのようなもの(語基が共通のもの)を何種類か挙げ、考察をする。
(2004年3月31日発行 和泉書院刊 A5判縦組み 273ページ 9,000円+税 ISBN 4-7576-0254-5)
真田信治監修 中井精一・内山純蔵・高橋浩二編 『日本海沿岸の地域特性とことば―富山県方言の過去・現在・未来―』
本書は日本海総合研究プロジェクト研究報告の第2として刊行された。このプロジェクトは日本海沿岸諸地域を考古学、人類学、地理学、社会言語学などの面から総合的に捉え、この地域の歴史的役割、特性、将来の方向性などを考えるものであり、富山県を発信源とした日本海文化の紹介という役割を担うものである。
- 「富山県方言の過去・現在・未来」(真田信治)
*富山県方言の特色について述べる。
第1部 富山県方言の特徴
- 「富山県方言の音声的特徴とこれから」(下野雅昭)
*音声・音韻・アクセントについて、シ・ジ・チとス・ズ・ツの問題、イ・エの問題、アクセントの問題を取りあげて考察。 - 「富山県方言の文法―地理的分布と記述研究の視点から―」(小西いずみ)
*いくつかの現象や形式に焦点を当てて富山県方言文法について論じ、全国諸方言の中での位置づけを考えていく。 - 「語彙分布からみた富山県方言の地域差とその背景」(中井精一)
*富山県方言の単語に関するいくつかの調査を紹介し、方言の地域差について述べる。 - 「雪国の気象に関する民俗語彙」(森俊)
*雪国特有の語を紹介する。 - 「方言の東西境界と富山」(大西拓一郎)
*東西対立の境界線が、なぜそこに引かれるかを解明する試論として、GISを使って方言分布図と地形(標高)図を重ね合わせてみる。 - 「『全国方言談話データベース』―富山県方言の録音資料―」(井上文子)
*「全国方言談話データベース」における富山県方言資料を紹介する。
第2部 日本海沿岸地域のことばの様相
- 「サハリンにおける言語接触小史」(朝日祥之)
*サハリンでの言語接触の歴史と、文化の特性について考察。 - 「津軽方言と日本海側分布」(阿部貴人)
*津軽方言で日本海側の地域には他の日本海沿岸地域と共通の語形が見られる。そのような現象を言語接触の面から見る。また、津軽の沿岸と内陸の接触について考える。 - 「石川県金沢方言のガヤとその周辺」(新田哲夫)
*共通語の「のだ」にあたる「ガヤ」という形式の紹介と、その新語形「ゲン」などとの関係(系譜・意味面など)を述べる。 - 「山陰地方における方言の分布と動態について―JR山陰本線松江〜和田山間グロットグラムをもとに―」(都染直也)
*グロットグラムをもとにこの方言の分布と動態を見ていく。 - 「長崎県対馬方言と日本海」(松丸真大)
*対馬の言葉を取りあげ、朝鮮との接触の影響について述べる。 - 「東シナ海沿岸・西部九州における大陸文化の受容と残像」(村上敬一)
*キリシタン文化の影響、外来語の受容、『日葡辞書』に残された方言、隠れキリシタンの語彙などを扱う。 - 「北日本の日本海沿岸地域に見られる文法体系の単純化現象」(日高水穂)
*サ変および一段活用動詞の五段化、形容詞活用の単純化、形容詞活用語尾や推量辞の独立接辞化などの文法現象を指摘する。 - 「方言認知と日本海―北陸地方に注目して―」(ダニエル=ロング)
*一般人の方言地域区分意識を地図化する。北陸方言がどのように捉えられているかを探る。 - 「データベース資料からみた日本海側のことば」(鳥谷善史)
*言語地理学の成果と、積雪量・日照時間などのデータを重ね合わせ、その影響を示す。また、航路などによる人的接触についても考察。
(2004年3月31日発行 桂書房刊 A5判縦組み 306ページ 3,000円+税 ISBN 4-905564-69-7)
林巨樹・池上秋彦・安藤千鶴子編 『日本語文法がわかる事典』
日本語文法に関する事項・術語(約270項目)について説明・解説する事典である。現代語文法・古典語文法とも扱っている。構成は、事項・術語を五十音順に並べるという形式で、各項には例文、定義、解説、補説の欄がある。助詞・助動詞に関しては、例えば「推量の助動詞」、「係助詞」という項目を立て、その下に各形式(う・よう、らしい、む・むず、らむ、けむ……)、(は・も・さえ・でも・しか・こそ……)を挙げ、解説を加える形式である。参考のため試しにア行の項目を目次から(空見出しも含めて)挙げると、アク説、アスペクト、言い切り、イ音便、イ形容詞、意志の助動詞、已然形、已然言、一語文、一人称、意味から見た文の種類、入子型構造、いろは歌、ヴォイス、ウ音便、受身・可能・自発の助動詞、受身・尊敬・可能・自発の助動詞、動辞(うごきてにをは)、打消推量の助動詞、打消の助動詞、詠嘆の助詞、詠嘆の助動詞、婉曲表現、延言、縁語、遠称、大槻文法、送り仮名、音便となっている。
(2004年4月10日発行 東京堂出版刊 B6判縦組み 318ページ 2,800円+税 ISBN 4-490-10644-0)
前田富祺・野村雅昭編 『朝倉漢字講座3 現代の漢字』
- 第1章「文学と漢字」(中村明)
*近現代文学の漢字使用率などを調査。また、文体との関わりについても述べる。 - 第2章「マンガの漢字」(小矢野哲夫)
*マンガに使われている漢字の機能、ルビ、文字の大きさ、使用比率などについて述べる。 - 第3章「広告の漢字」(金城ふみ子)
*読売新聞1か月分の広告を中心とした調査により、商品広告における漢字の種類と用法を調査、報告。 - 第4章「若者と漢字」(米川明彦)
*若者の漢字読み書き能力の実態。また、手書きの字形の問題や、若者の漢字に対するイメージについて。 - 第5章「書道と漢字」(河内利治)
*書道の概論。また、書道の過去と未来への展望。 - 第6章「漢字のデザイン」(味岡伸太郎)
*書体、字形、組版、タイポグラフィ、タイプフェイス(印刷用書体)について述べる。 - 第7章「ルビと漢字」(岡田寿彦)
*並列表記のためのルビに注目。つまり振り仮名ではない(漢字の読みを示すのではない)ルビについての考察。 - 第8章「地名と漢字」(笹原宏之)
*日本の地名に使われる漢字の特徴をいろいろな角度から指摘。 - 第9章「人名と漢字」(丹羽基二)
*苗字について、使用される漢字の画数や使用度などを示す。名についても同様の調査結果を示す。 - 第10章「漢字のクイズ」(??岡昭夫)
*漢字クイズを作成した経験から、漢字クイズにどのような出題パターンがあるかを整理。
(2003年10月30日発行 朝倉書店刊 A5判横組み 250ページ 4,800円+税 ISBN 4-254-52533-2)
前田富祺・野村雅昭編 『朝倉漢字講座5 漢字の未来』
- 第1章「情報化社会と漢字」(山田尚勇)
*情報化社会が到来した現在、漢字に頼りすぎることは教育・思考・表現の面などでマイナスの影響があると述べる。 - 第2章「インターネットと漢字」(加藤弘一)
*インターネット上の漢字について、コード、規格などの面から述べる。 - 第3章「多文字社会の可能性」(河野勝也)
*日中の漢字政策や文字コードについて述べ、中国の入出力システム、翻訳メールシステムについて述べる。 - 第4章「現代中国の漢字」(松岡栄志)
*現代中国の漢字政策について現状を報告。 - 第5章「韓国の漢字」(宋永彬)
*韓国の漢字政策について現状を報告。 - 第6章「東南アジアの漢字」(田中恭子)
*東南アジアと漢字の関わり(かつて大きな影響を受けていたベトナム、各地域の華人移民社会など)について述べる。 - 第7章「出版文化と漢字」(村瀬拓男)
*電子出版物製作時に直面した漢字の問題と、その経験から論じる、出版と漢字の関わり。 - 第8章「ことばの差別と漢字」(ましこ・ひでのり)
*漢字には弱者の疎外・排除構造とつながっている面があると指摘する。 - 第9章「漢字に未来はあるか」(野村雅昭)
*最近の、漢字を多く使うような風潮に反対し、日本語を、漢字を使わなくても成り立つ言語へとしなければならないと論ずる。 - 対談―漢字の未来をめぐって―(前田富祺・野村雅昭)
*編者の対談。
(2004年4月30日発行 朝倉書店刊 A5判横組み 255ページ 4,800円+税 ISBN 4-254-51535-9)
山梨正明ほか編 『認知言語学論考3』
- 「言語における〈主観性〉と〈主観性〉の言語的指標 (1)」(池上嘉彦)
*主観的把握(subjective construal)の本質と位置づけを理論的に検討する。また、主観的把握先行を示す言語的指標の検討を行う。その流れからラネカーの枠組みを修正する説を提案する。 - 「何故プロトタイプ構造か―日本語の「形容動詞」に見るプロトタイプ構造形成の歴史的考察―」(上原聡)
*なぜカテゴリーがプロトタイプ構造を持つのか、形容動詞を例として取りあげ、共時的および通時的考察を行う。 - 「被動者―主語文の認知言語学的分析―」(二枝美津子)
*中間構文、能格構文、再帰構文、受動文の間の構文関係を認知言語学的観点から考察する。何を根拠にどの構文を選んで表現するのかという問題を検討する。 - 「ヲ格と道具目的語」(足立公平)
*「銃を撃つ」を道具目的語構文と呼び(「熊を撃つ」の「を」と比較すれば、「銃を」の「を」が持つ特徴は明らかであろう)、その容認にはいかなる意味の動機付けがあるかを考察。 - 「認知事象の複合的制約に基づく結果構文再考 ―構文現象の体系的記述を目指して―」(李在鎬)
*構文理論の枠組みから日本語の結果構文を検討し、新たな結果構文分析を提案する。また、セッティング参与者モデルを改良し、時空間制約を導入したモデルを提案する(文の成り立ち=動詞の制約という見方が従来は自明視されているが、それに対する異議という側面も見られる)。
(2004年4月30日発行 ひつじ書房刊 A5判横組み 262ページ 3,800円+税 ISBN 4-89476-220-X)
森岡健二著 『日本語と漢字』
既発表論文を中心に書き下ろしも含め、漢字に関する論をまとめて一書としたものである。全体は4部に分かれる。第1部「文字論」は文字形態素論を中心に、文字による相通変換の実態を分析する。第2部「明治から現代へ―漢字・漢語の流れ―」は現代漢語の成立を明治期の漢字・漢語論を踏まえて論じていく。第3部「語彙と漢字の用法」は、和語・漢語・外来語の性質と役割、欧文訓読の歴史、語彙研究の学史について論じる。第4部「現代の漢字調査」は、書き下ろしで、JISコード漢字表の研究を展開する。表にある漢字を、音訓文字、字音文字、字訓専用文字…というように類別し、そのグループの性質を観察・分析する。また、JISコード漢字をグループごとに整理した一覧表を付す。
(2004年5月25日発行 明治書院刊 A5判縦組み 299ページ 9,400円+税 ISBN 4-625-43323-1)
諸星美智直著 『近世武家言葉の研究』
本書は、近世の武家が実際に使っている言葉が残されている文献を探し、それらを出身地域、身分などに注意しながら観察し、その実態を描こうとしたものである。物語世界に現れる武士の言葉は、武家らしさを強調するため実態とは異なっている。したがって、それを基に当時の武家での言葉を論じるのは危険であると著者は述べている。全体は6部に分かれる。第1部「総説 武家言葉の資料と場面」では、研究方法と資料について、武家社会の会話場面、武家と庶民の対話場面での言葉を観察する。第2部「徳川幕府における言語の諸相」では幕府の、第3部「藩社会における言語の諸相」では主に土佐藩での言葉を観察する。第4部「吟味席における役人の言語」では事情聴取の場面、第5部「遊里における武家客の言語」では、その場面における打ち消し表現や自称・対称などを見ていく。第6部「余録」では人相書の言語事項や、忍者・隠密と方言などについて述べる。
(2004年5月26日発行 清文堂出版刊 A5判縦組み 518ページ 13,000円+税 ISBN 4-7924-1383-4)
三保忠夫著 『古文書の国語学的研究』
中世以前の古文書を対象とし、その文書語(もんじょご)の実相・体系を探究すべく、その基礎固めを行ったものである。全体は3部に分かれる。第1部「古文書の国語学的研究」では歴史学に比べ、国語学系の研究者が古文書の言葉を研究することが少なかったことを述べ、文書語研究が有する意義(従来の文芸資料あるいは、漢文訓読系資料には見られない語、用法、歴史的変化についての資料が得られる)について述べる。また、研究史・研究課題をまとめる。第2部「古文書の文字・用語」では、古文書における特殊な言語事象のいくつかについて検討する。まず、文字、さらに用字・用語について概略を述べる。そして、「仰(おほす‐あふぐ)」、「奉(うけたまはる‐たてまつる)」などの語について、その用法を検討する。第3部「古文書の表現法」では、古文書における待遇表現、引用表現、数量表現を対象に、どのような言い方が用いられるかについて、中国文献との関わり、時代別の傾向などを探る。
(2004年6月1日発行 吉川弘文館刊 A5判縦組み 303ページ 11,000円+税 ISBN 4-642-08522-X)
角田三枝著 『日本語の節・文の連接とモダリティ』
日本語における接続表現の使い分けに関する構造的な原理を指摘したものである。また、「のだ」「わけだ」の表現を(個々の意味用法ではなく)「思考のプロセス」という概念を利用して統一的に述べていこうとしている。全体は6章からなる。第1章「本書のねらい、構成、意義」に続き、第2章「節の連接とモダリティ」では、従属節と主節のモダリティの共起関係、および従属節と主節の意味関係を考察し、5つのレベル(現象描写、判断、働きかけ、判断の根拠、発話行為の前提)の区別を提案する。そして、原因・理由、逆接、条件の諸表現について、これらのどのレベルの表現が可能かを論じていく。第3章「ノダの思考プロセス」では「のだ」を扱う。第4章「ワケダ、ワケデハナイ」では「わけだ」を「のだ」と比較しながら、述べる。第5章「節の連接と思考プロセス」では、「ので」「から」「のだから」の違いを検討する。第6章は「結論と今後の展望」。なお、本書は2003年にお茶の水女子大学から学位を授与された論文が基になっている。
(2004年6月1日発行 くろしお出版刊 A5判横組み 225ページ 3,300円+税 ISBN 4-87424-295-2)
飛田良文編 『国語論究11―言文一致運動―』
言文一致運動をテーマとした16編を収める。収録論文は以下のとおりである。
- 「言文一致研究の視点」(飛田良文)
*言文一致とは何か、明治以前の諸文体を紹介し、その後、普通文、言文一致体、口語体などの展開を概観。 - 「言文一致論の歴史」(服部隆)
*文字表記、小説での叙述などの面から、言文一致に関する論の流れを追う。 - 「デゴザル体の文章」(古田東朔)
*江戸期(本居宣長・平田篤胤)と明治初期(加藤弘之・西周)の「デゴザル」を比較。 - 「雑誌『太陽』創刊年(一八九五年)における口語文―敬体を中心に―」(田中牧郎)
*敬体(デゴザル)と常体(デアル)がどのような記事に現れるかを分析。 - 「デアリマス体の文章」(金子弘)
*「デアリマス」の使用実態(演説での実態、軍隊での実態)について述べる。 - 「デアル体の文章―尾崎紅葉の作品を中心に―」(佐藤武義)
*デアル体が尾崎紅葉の作品の中で、どのような位置付けになっているかを調べる。 - 「デス・マス体の文章―山田美妙―」(小野正弘)
*山田美妙によるデス・マス体初期小説を資料として、山田が「デス・マス」をどのように使っていたかを分析。 - 「ダ体の文章の系譜―『浮雲』の史的位置―」(遠藤好英)
*『浮雲』のダ体の文とはどのような文章か、それはどのような歴史的意味を持つのかを考える。 - 「日記文の言文一致」(斎藤文俊)
*夏目漱石・石川啄木の日記の文体を調査し、文語調と口語調の比率の違いなどを報告する。 - 「速記と言文一致」(清水康行)
*速記語の成立、速記者と言文一致運動のかかわり。 - 「言文一致と新聞文章」(小林弘忠)
*新聞文章が言文一致と無縁であったのはなぜか、いつごろから言文一致になったのかを探る。 - 「雑誌記事の言文一致―明治二十八年『太陽』の場合―」(土屋信一)
*創刊号の論説欄の文語体・口語体の論文を比較、また、口語体文を書いた上田万年、井上哲次郎、坪井正五郎の文に見られる漢語率を調査。 - 「翻訳文の言文一致」(鈴木直枝)
*明治期の『英語青年』を対象とし、mustとshouldを取りあげ、その訳出語としてどのような言い方が用いられるかを観察し、それを通じて翻訳における言文一致の様相を探る。 - 「国定教科書の言文一致」(貝美代子) *国定読本第1期〜5期の、敬体口語文、常体口語文、文語文の割合を分析。また、他教科の文体と比較し、国定読本の主導的位置を確認する。
- 「写生文から小説へ―その視座―」(橋浦兵一)
*正岡子規の写生文成立とその特色を考察。高浜虚子、伊藤左千夫、長塚節、夏目漱石を取りあげ、その文体論を展開する。 - 「堺枯川の言文一致観とその文章」(村山昌俊)
*堺枯川(堺利彦)の言文一致論とその実践例を分析。
(2004年6月25日発行 明治書院刊 A5判縦組み 479ページ 18,000円+税 ISBN 4-625-43324-X)
北原保雄監修・編 『朝倉日本語講座5 文法1』
北原保雄監修・尾上圭介編 『朝倉日本語講座6 文法2』
現在の研究水準(研究成果)を平易に論述する講座の、文法を扱った2冊である。
【文法1】では、文法についての全般、文の構造、文の成分などについて扱う。
- 第1章 文法について(北原保雄)
*総論である。文法と文法論の関係、文法研究の歴史、文法研究の対象について述べる。 - 第2章 文の構造(北原保雄・北原博雄)
*文の構造について述べる。文の成分とは何かを説明し、補充成分や修飾成分について述べる。 - 第3章 名詞句の格と副―格助詞と副助詞の性質―(近藤泰弘)
*格助詞と副助詞の性質について述べ、その境界について考える。 - 第4章 副詞の機能(矢沢真人)
*副詞に関する研究を歴史的に考察。 - 第5章 連体修飾の構造(大島資生)
*節による連体修飾(内の関係、外の関係などの問題)を扱う。 - 第6章 名詞句の諸相(西山佑司)
*名詞句に対する意味解釈の問題を、意味と指示の観点から扱う。 - 第7章 話法における主観表現(砂川有里子)
*日本語の話法の問題を主観表現との関わりから考える。引用、場について述べる。 - 第8章 否定のスコープと量化(加藤泰彦)
*否定と量化現象を文の意味の決定に関わる要因と、そこに働く原理について考察する。 - 第9章 日本語の複文(橋本修)
*従属節の種類と性質について述べる。現在の研究の概略を紹介する。 - 第10章 普遍文法と日本語―結果構文を題材として―(三原健一)
*生成文法の概説を行う。また、結果構文を題材として日本語研究から普遍文法へ何が提言できるかを述べる。 - 第11章 句構造文法理論と日本語(吉本啓)
*コンピュータによる言語処理で中心的な存在であった句構造文法理論の概説と今後の展望を語る。 - 第12章 認知言語学からみた日本語研究―複合ドメイン・モデルを中心に―(山梨正明)
*認知言語学の立場からの日本語研究について述べる。
【文法2】は、主語とはどのようなものか、述語とはどのようなものかということについて、その本質から問う論を展開する。また、主語とその周辺について、および述語の機能(その内部組織を含めた)について述べる。
- 第1章 主語と述語をめぐる文法(尾上圭介)
*主語についての論、題目についての論、述語についての論を展開する。これらを考える際の基本的視点について論ずる。 - 第2章 文法と意味(川端善明)
*意味と、その現れとして存在する文との交渉の様相を論ずる。文の組織が意味のどのような支えによって分化しているかを根底から考える。 - 第3章 述語の形態と意味(野村剛史)
*第4〜9章の述語範疇各論、および第10章の論(述語を認知言語学的観点から見る)に先立ち、述語とは何か、文の中でどんな働きをしているのか、について述べる。 - 第4章 受身・自発・可能・尊敬―動詞ラレル形の世界―(川村大)
*ラレルが持つ複雑な文法上・意味上の問題を紹介し、諸用法の統一的理解の必要性を訴える。 - 第5章 使役表現(早津恵美子)
*「(さ)せる」の形を使った使役表現には、基本的なものからそうでないものまで、様々なものがあることを述べる。また、他動詞表現とどのような関係にあるかということについて述べる。 - 第6章 テンス・アスペクトを文法史的にみる(鈴木泰)
*現代語のテンス・アスペクト体系を整理する。そこで得られた視点から一方的に古代語を見るのではなく、将来、古代語から現代語へのテンス・アスペクト体系の変化を描くための基礎的な見方や論点について述べる。 - 第7章 現代語のテンス・アスペクト(工藤真由美)
*話し言葉における述語の終止形に絞って、テンス・アスペクトとムードの関わりについて述べる。 - 第8章 モダリティを文法史的に見る(大鹿薫久)
*判断系モダリティが、上代・中古、中世・近世初期、近世中期〜現代、のそれぞれにおいて、どのように表されてきたかを概観する。 - 第9章 現代語のモダリティ(田野村忠温)
*モダリティに関する代表的な所説を紹介し、その問題点を検討する。 - 第10章 述語をめぐる文法と意味―認知言語学的観点から―(坪井栄治郎)
*述語を認知言語学的観点から見る。 - 第11章 主語と題目語(丹羽哲也)
*主語と題目語の類似と相似について論じる。 - 第12章 主語をめぐる文法と意味―認知文法の観点から―(西村義樹)
*主語を認知言語学的観点から見る。
第5巻 文法1(2003年10月30日発行 朝倉書店刊 A5判横組み 273ページ 4,200円+税 ISBN 4-254-51515-4)
第6巻 文法2(2004年 6月25日発行 朝倉書店刊 A5判横組み 305ページ 4,600円+税 ISBN 4-254-51516-2)
渡辺富美雄編 『新潟県方言辞典 中越編』
上越編(1973年)、佐渡編(1973年)、下越編(2001年)に続くものであり、この中越編をもって、シリーズ完結となる。収録語彙は、他の新潟県諸地域と共通するものも入れ、相互の比較を可能にしている。記述は、約2700項目あり、方言語形の五十音順で、語構成、アクセント、品詞等、意味、場合によっては解説、用例、反義語の情報などが盛り込まれている。基になった調査は、中越地方のすべてに及んだものではないが、さらに細かい調査が行われるのは、今後の課題とある。採録にあたっては、生え抜きでなるべく調査当時50歳以上の人のデータを選んだとのことである。巻末には新潟県中越地方の方言の概観、共通語索引がある。
(2004年6月30日発行 野島出版刊 A5判縦組み 326ページ 10,000円+税 ISBN 4-8221-0199-1)