日本語学会2017年度春季大会シンポジウム概要(詳細版)
lastupdate 2017/3/22

国学と古代語研究の現在

 

趣旨

 本居宣長は,契沖に導かれ,仮名遣研究を伝統的な歌学から言語の学へと発展させました。てにをは学においても,本居宣長や富士谷成章らによって研究の礎が築かれました。国学の知見は,近現代の国語学,日本語学に継承され古代語研究の基層となっています。とはいえ,国学には現在の研究水準に照らして明らかな誤謬や,あるいは大局的な観点に欠ける言説もあり,昨今,わざわざ国学の言説に立ち返って論を立てることはなされなくなってきました。では,国学は遺物に過ぎないのでしょうか。国学の言説を拾い上げ,現代人の色眼鏡を外し注意深く眺めてみると,私たちに少なからぬ示唆を与えてくれる瞬間があるように思います。

 シンポジウムでは,言語・文学・思想に亙る国学の研究の中で,日本語学にとって関わりの深い古代語研究にしぼり,以下の論点により,国学の古代語研究を問い直しつつ,国学の言説が,現在の古代語研究において,どのような視座を与えてくれるのかを考えていきます。

 ① 古代語に関する国学の研究から,現在の古代語研究を検討する

本居宣長『古事記伝』をとりあげ,宣長の古代語再建をめぐる「履き違え」が,近現代的な言語研究とどのように重なり合う面があるのかを検討します。

 ② 国学が古代語を復元する際におかした誤謬を検証する

日本語学史でも扱われることの少ない,歴史に埋もれた国学者の言説を取り上げ,本居宣長が提唱した「をかし・おかし別語説」が後の国学者の論争により学説が研鑽されていく過程を追跡し,誤謬から私たちは何を学ぶかを考えていきます。

 ③ 国学の言説を現在の研究の中に位置づけることは可能か,検討する

富士谷成章『あゆひ抄』の言説を,一つの先行研究として現在の研究と対置させてみることで,私たちが見過ごしている視点を取り出すことは可能か,検討します。

 これにより,現在の古代語研究に資する視点を見出し,古代語研究の未来を展望していきます。

 

 このシンポジウムは,古代語研究に関わってこられた方だけでなく,日本語研究に携わってこられたあらゆる方,とりわけ,これまで国学に目を向けてこられなかった方々にも聴いていただけたらと願っています。ご参加をお待ちしております。

 

パネリスト

奥村悦三(奈良女子大学名誉教授),田中康二(神戸大学),小柳智一(聖心女子大学)

司会

長谷川千秋(山梨大学),勝又隆(福岡教育大学)

企画担当

長谷川千秋(山梨大学),勝又隆(福岡教育大学)

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