日本語学会2018年度秋季大会
lastupdate 2017/12/27

日時

 2018年10月13日(土)・14日(日)

 

場所

 岐阜大学 (〒501-1193 岐阜市柳戸1-1)

 

 

シンポジウム概要(速報)

 日本語の先端的な動向の解明と、そのための新しい資料論

   趣旨

 日本語は日々変化してやまない“生き物”である。最先端の日本語の動向は,長期的に見れば日本語の歴史的変化を形作る重要なステップのひとつとなる場合もあり,その意味において,共時論的な立場からの関心にとどまらず,通時論的価値もまた見出されてよい。しかし,その実態は,規範意識による矯正や校閲による修正などを経て公刊される出版物等の一般資料には姿を現しにくく,観察に適するのは位相的に限られた資料であるという,資料論的な制限がつねにつきまとう。そして,そのような最先端の動向を新聞・雑誌等を通じて観察せざるを得なかった時代は,それが一般化・定着して社会に認識されるまでには一定のタイムラグがあった。

 しかし,インターネットの普及した今日,状況は一変した。かつてなら個人の日記や手紙・メモ等のドメスティックな資料に現れていた言語変化の萌芽は,ウェブ上のブログや掲示板,ツイッター等の個人による発信の場に姿を現すこととなり,それによって今や誰もがこれをリアルタイムで容易に知ることができるようになった。さらに,それらに対する自らの意識や意見をもウェブ上に発信できるようになったことで,メタ的な言及を通じた規範意識の観察もより多角的に行い得る時代となった。同時に,それらウェブ上の言語資源を取り込んだコーパスデータの構築も進められ,そういった新たなメディアを活用した研究は,近年,次々と発表されている。

 その一方で,用例検索の便宜に秀でたこれらの資料を用いた日本語研究は,ともすれば「安易である」との批判を受けがちであり,また,脱規範的な新語・新用法という研究対象自体が,「卑俗である」として軽視されがちなことは事実である。確かに、データベースやコーパスの導入により,かつてと比べて用例採集の労苦は驚異的に軽減されたが,その反面,これらの資料の特性に対する十全な理解を欠いた危うい研究成果が散見されることも否めない。

 今日的な新しい言語資料における資料論,例えばコーパスの均衡性が均質性と裏腹であることへの配慮,または個々の用例にどこまで代表性を認めるかといった問題,あるいは、ウェブ上での用例について言語使用者の属性をどのように見極め分析において勘案するか・そもそもし得るのか,という課題,つまりかつて「国語史資料論」と呼ばれた分野に相当する新たなるフィロロジーが,必要とされる時代が到来していると言えよう。そしてそれは,これまでのフィロロジーと対立的に対峙するものでは決してなく,ウェブ上の新資料等との対比によって,従来の資料の特性をいわば逆照射的に問い直すものでもあり,それらを総合的に総括する議論が待たれるところである。

 本シンポジウムでは,上述の問題意識に基づき,日本語の先端的な動向の解明と,さらにそのための最先端の資料論として、以下のような問題提起を行い,議論を試みたい。

・ウェブを使った日本語研究の最先端―その現状の問題点と,その解決法

・可能表現における新しい形(「ラ抜き」,「レ足す」といった逸脱的形態の存在)の実態と,それを知るための資料論(BCCWJ等各種コーパス・データベースの特徴と問題点など)

・ブログ,ツイッター等の言語資料としての可能性と,それを用いた研究の実践例

 

   パネリスト

     岡島昭浩(大阪大学),浅川哲也(首都大学東京),岡田祥平(新潟大学)

   司会

     島田泰子(二松学舎大学),新野直哉(国立国語研究所)

   企画担当

     島田泰子(二松学舎大学),新野直哉(国立国語研究所)

(2017年12月27日掲載)

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