日本語学会2020年度春季大会
lastupdate 2019/9/18

日時

 2020年5月16日(土)・17日(日)

場所

 東京外国語大学 (〒183-8534 東京都府中市朝日町3-11-1)

 

 

シンポジウム概要(速報版)

 データから見る日本語と「性差」

   趣旨

 「日本語は世界の言語の中でも,男性語と女性語の相違が特に著しいといわれる」。

 1980年『国語学大辞典』に見えるこの記述は,現在どのように評価すべきであろうか。

 たとえば,2018年『日本語学大辞典』では,「女性語」「男性語」という性差は近代的なイデオロギーのもとに確立したものであって,古代においては存在しなかったとされる。また,それら「女性語」や「男性語」とされる形式が,実際の話し言葉の中では使用されなくなっているといったことを指摘する論文も数多く見られる。そういった状況の中で,冒頭の一文は修正すべきなのか,また,修正すべきだとすればどのように修正すべきなのか。

 「女性語」「男性語」すなわち,「女性/男性らしい言葉」を,現実に用いられる言語と異なるものとして区別したことは,近年における言葉と性差をめぐる研究成果の一つと言えよう。中村(2012)における「女ことば」の形成過程や,金水(2003)におけるステレオタイプとしての言葉の性差などは日本語学における現代的な到達点であると言える。

 その一方で,現実に用いられた言語のレベルにおいては,こうした到達点と組み合えるほどの十分な成果があるとは言いがたい。「女性語」や「男性語」が「使用されなくなった」と言われる現代の話し言葉において,場面や社会的立場,地理的な変異を含め,実際にはどのような言葉が用いられているのか,さらに歴史的にはどうなのか,そしてそこに「性差」はあるのか。古くて新しいこの問いには日本語研究の立場から応えるべき事柄が多く残されているように思われるが,本学会のシンポジウムではこれまで取り上げられていない。

 そこで本シンポジウムでは,言語の多様な実態に即して考えるという意味で「データから見る」という観点を基軸に据え,改めて日本語と「性差」について考えたい。現代では,言語的実態を捉えるための様々な手法,コーパス類などデータの蓄積,そしてそれを支える最新の理論に拠って,言語使用の実態をこれまで以上の精度で観測することが可能になりつつある。これらの資料や方法を用いることが,日本語の「性差」を,現時点においてどのように記述するべきなのかという議論の契機となるのではないかと考える。

 以上の趣旨をふまえ,パネリストは,あえて,言葉と「性差」の問題を主たる研究テーマとする方々ではなく,それぞれの言語データをお持ちの方とし,今回のテーマのためにお願いして考察していただくものである。より多くの幅広い研究者がこの問題に新たに関心を寄せるきっかけとなるようなシンポジウムとしたい。

参考文献:国語学会編(1980)『国語学大辞典』・日本語学会編(2018)『日本語学大辞典』東京堂出版,金水敏(2003)『ヴァーチャル日本語役割語の謎』岩波書店,中村桃子(2012)『女ことばと日本語』岩波書店

 

 

   パネリスト

     小磯花絵(国立国語研究所),近藤泰弘(青山学院大学),高木千恵(大阪大学)

   企画提案者・司会

     森山由紀子(同志社女子大学),加藤大鶴(跡見学園女子大学)

 

(2019年9月18日掲載)

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